
月100時間超の違法残業!会社と工場長が送検された事例
私は機械部品の製造工場で技能実習生として働いていた外国人です。
在留資格は「技能実習2号」で、金属加工の技術を習得していました。
入社当初から残業が多いとは聞いていましたが、実際に働き始めると毎月100時間を超える残業が当たり前でした。
朝7時から夜10時まで働く日が続き、休日出勤も月に何度もありました。
体調を崩す同僚もいましたが、「納期があるから」と言われて休むことすら許されませんでした。
最終的に、この会社は違法な時間外労働をさせたとして、会社と工場長が送検されました。

| 出身国 | 中国 |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 工業製品製造業(技能実習) |
| 就職ルート | 母国からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和4年) |
まつむら36協定で定めた限度時間を超える時間外労働は、労働基準法違反として刑事罰の対象となります。特に月100時間以上、または複数月平均80時間超の残業は、過労死ラインとされており、労働者の生命・健康に関わる重大な問題です。繰り返し違反が認められた場合、会社と責任者が送検される可能性があります。
入社初日から感じた異常な労働環境
終わりの見えない長時間労働
工場での仕事は、朝8時から夕方17時が定時のはずでした。
しかし入社初日から、「仕事が終わるまで帰れない」という雰囲気を感じました。
先輩たちは誰も17時に帰る人はおらず、みんな黙々と作業を続けていました。
私が帰ろうとすると、工場長から「まだ仕事があるだろう」と声をかけられました。
結局、毎日21時や22時まで働くのが当たり前になりました。
土曜日も出勤させられることが多く、日曜日だけが唯一の休みでした。



労働基準法では、会社が労働者に残業をさせるには、労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。36協定には残業の上限時間を定めなければならず、その上限を超える残業は違法となります。
体調を崩しても休めない現実
連日の長時間労働で、私も他の実習生も疲弊していきました。
ある同僚は、熱があるのに「納期に間に合わない」と言われて出勤させられました。
私も頭痛や目のかすみを感じることが増えましたが、休むことへの罪悪感がありました。
工場長は「日本人だって同じように働いている」と言っていましたが、明らかに異常な状況でした。
監理団体に相談しても、「繁忙期だから仕方ない」と言われるだけでした。



月100時間以上の残業や、2〜6か月平均で月80時間を超える残業は「過労死ライン」と呼ばれ、脳・心臓疾患や精神疾患を発症するリスクが高まります。繁忙期であっても、労働者の健康を無視した長時間労働は許されません。
労働基準監督署の調査が入った
ある日、工場に労働基準監督署の監督官が来ました。
どうやら、この会社では過去にも長時間労働に関する法違反が繰り返し認められていたようです。
タイムカードと36協定の照合
- 36協定で定めた限度時間を大幅に超える残業をさせていた
- 技能実習生3名に対し、月100時間以上の時間外・休日労働をさせていた
- 技能実習生2名に対し、複数月平均で月80時間を超える残業をさせていた
- 過去にも同様の違反で是正勧告を受けていたにもかかわらず改善していなかった
監督官は、私たちのタイムカードと会社が届け出ている36協定を照合しました。
その結果、36協定で定めた限度時間を大幅に超える残業が常態化していたことが明らかになりました。
特に私を含む3名の技能実習生は、月100時間以上の時間外・休日労働をさせられていました。
また、別の2名は複数月にわたって平均月80時間を超える残業をさせられていたのです。



2019年4月から施行された働き方改革関連法により、時間外労働の上限が法律で規制されました。原則として月45時間・年360時間が上限であり、特別条項を設けても年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間以内を超えることはできません。
会社と工場長が書類送検された
送検に至った理由
- 過去の違反歴
- 繰り返し長時間労働で是正勧告を受けていた
- 違反の重大性
- 過労死ラインを超える長時間労働が複数人に及んでいた
- 改善の見込みなし
- 是正勧告後も同様の違反を続けていた
この会社では、過去にも繰り返し長時間労働に関する法違反が認められていました。
是正勧告を受けても改善せず、同じ違反を続けていたのです。
労働基準監督署は、悪質な違反として捜査に着手し、最終的に会社(法人)と工場長を書類送検しました。
被疑事実は、技能実習生に対し36協定の限度時間を超えて違法な時間外・休日労働を行わせたことでした。



書類送検とは、労働基準監督署が捜査した結果を検察庁に送ることです。その後、検察官が起訴するかどうかを判断します。起訴されて有罪となった場合、会社には罰金刑、責任者には懲役刑や罰金刑が科される可能性があります。
長時間労働から身を守るために知っておくべきこと
この経験を通じて、私は長時間労働がいかに危険であるかを痛感しました。
毎日の労働時間を正確に記録する
タイムカードの打刻だけでなく、自分でも毎日の出勤時刻・退勤時刻・休憩時間を記録しておきましょう。
スマートフォンのアプリやノートを活用して、証拠として残しておくことが大切です。
自分の会社の36協定の内容を確認する
36協定は、会社の見やすい場所に掲示するか、労働者に周知する義務があります。
自分の会社で何時間まで残業が認められているか確認してください。
月45時間・年360時間を超えていないかチェックする
残業の上限は原則として月45時間・年360時間です。
特別条項があっても、月100時間以上、複数月平均80時間超は絶対に違法です。
自分の残業時間がこれを超えていないか、毎月確認する習慣をつけましょう。
体調に異変を感じたらすぐに医師に相談する
長時間労働による過労は、脳・心臓疾患や精神疾患を引き起こす危険があります。
頭痛、めまい、動悸、不眠、気分の落ち込みなどを感じたら、すぐに医師の診察を受けてください。
医師の診断書は、後に労災申請をする際の重要な証拠になります。
長時間労働を強要されたら外国人技能実習機構に相談する
必要に応じて労働基準監督署に申告する
外国人技能実習機構に相談しても解決しない場合、労働基準監督署に直接申告することができます。
労働時間の記録など証拠を持参し、違法な長時間労働の実態を伝えてください。
申告は匿名でも可能であり、申告を理由とした不利益取扱いは法律で禁止されています。



長時間労働は「仕方ない」ものではありません。法律で明確に上限が定められており、それを超える残業を強要することは犯罪です。あなたの健康と命を守るために、異常な労働環境からは逃げる勇気を持ってください。
まとめ:あなたの健康と命は何より大切
私のいた会社は、違法な長時間労働によって送検されました。
しかし、それは私たちの健康が失われた後のことでした。
私は今、別の会社で働いています。
今の会社は残業時間がしっかり管理されており、健康的に働くことができています。
同じように異常な長時間労働に苦しんでいる技能実習生の方へ。
「納期のため」「みんな同じ」という言葉に騙されないでください。
あなたの健康と命は、どんな仕事よりも大切です。
勇気を出して相談してください。








