
縫製業で割増賃金不払い!65万円を取り戻した体験談
私は縫製工場で技能実習生として働いていた外国人です。
在留資格は「技能実習2号」で、日本語は日常会話程度なら話せます。
毎朝、始業時刻の30分前から朝礼に参加させられていましたが、その時間の賃金は一切支払われていませんでした。
さらに、終業後の作業は「内職」として扱われ、通常の時給よりもはるかに低い単価で計算されていたのです。
ある月、給料明細を確認すると、1か月分の定期賃金がまったく振り込まれていないことに気づきました。
会社に確認しても「計算ミスだから待て」と言われるだけで、何週間経っても支払われませんでした。

| 出身国 | ベトナム |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 工業製品製造業(技能実習) |
| 就職ルート | 母国からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 言語・文化の違いによるトラブル |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和4年) |
まつむら始業前の朝礼時間や終業後の作業も、会社の指揮命令下にあれば労働時間に該当します。「内職」として低い単価で支払うことは違法であり、法定の割増賃金を請求する権利があります。外国人技能実習機構や労働基準監督署に相談することで、未払い賃金を取り戻せる可能性があります。
朝礼参加から内職扱いまで|問題が発生した経緯
毎朝30分前からの朝礼が当たり前だった
縫製工場での仕事は、朝8時が始業時刻でした。
しかし入社初日から、「7時30分には必ず来て朝礼に参加するように」と言われました。
朝礼では、その日の作業内容の確認や、機械の点検、清掃などを行います。
私は最初、これも仕事の一部だと思っていました。
でも給料明細を見ると、労働時間は8時からしか計算されていなかったのです。
同じ工場で働く先輩の実習生に聞くと、「みんな同じだから仕方ない」と言われました。



使用者の指示により始業時刻前に行う朝礼、準備作業、清掃などは、すべて労働時間として賃金が発生します。「慣例だから」「みんな同じだから」という理由で無給にすることは、労働基準法違反となります。
終業後の作業が「内職」として低単価に
問題はそれだけではありませんでした。
終業時刻の17時以降も、仕事が残っていれば作業を続けなければなりませんでした。
しかし会社は、終業後の作業を「内職」と呼び、時給ではなく出来高払いの工賃で計算していました。
例えば、服のボタンを100個つけて200円というような単価です。
通常の時給で計算すれば、1時間で1,000円以上になるはずの作業が、半分以下の金額にされていたのです。
しかも、終業後なので本来は割増賃金が必要なのに、それすら支払われていませんでした。
おかしいと思いながらも、日本語がうまく話せない私は、どこに相談すればいいか分かりませんでした。



終業後の作業を「内職」として扱い、割増賃金を免れようとする手法は違法です。会社の施設内で、会社の指示のもと行う作業は、名目が何であれ労働時間に該当します。時間外労働には25%以上の割増賃金が必要であり、出来高払いでも同様の計算が必要です。
1か月分の給料が振り込まれない|不安と決断
ある月の給料日、銀行口座を確認して愕然としました。
いつもは振り込まれているはずの給料が、まったく入っていなかったのです。
すぐに会社の事務の人に確認しました。
「計算ミスがあったから、来月まとめて払う」と言われましたが、来月になっても支払われませんでした。
母国の家族に仕送りをしなければならない私にとって、1か月分の給料がないのは本当に困りました。
監理団体に相談しても、「会社と話し合って」と言われるだけで、具体的な解決策は教えてもらえませんでした。
このままでは生活ができないと思い、勇気を出して外国人技能実習機構に相談することを決めました。



賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません(賃金支払いの5原則)。「来月まとめて払う」という対応は違法であり、監理団体が適切に対応しない場合は、外国人技能実習機構や労働基準監督署に直接相談することが重要です。
外国人技能実習機構への相談で分かったこと
外国人技能実習機構に相談したところ、担当者は私の話を丁寧に聞いてくれました。
母国語の通訳もいて、細かい状況を正確に伝えることができました。
朝礼時間と内職作業の問題点
- 始業前30分の朝礼時間が労働時間として計算されていない
- 終業後の作業が「内職」扱いで割増賃金が支払われていない
- 1か月分の定期賃金がまったく支払われていない


担当者によると、会社の指示で参加する朝礼は、始業時刻前であっても労働時間に該当するとのことでした。
また、終業後の作業を「内職」と呼んでも、実態として会社の指揮命令下で行う作業であれば、時間外労働として割増賃金の支払いが必要です。
私の場合、朝礼時間と終業後の作業時間を合わせると、毎月かなりの時間が無給または低賃金で働かされていたことになります。



外国人技能実習機構は、技能実習生からの相談を母国語で受け付けています。労働条件に問題がある場合、機構と労働基準監督署が合同で監督・調査を行い、是正勧告を出すことができます。一人で悩まず、早めに相談することが大切です。
合同監督・調査の実施と是正勧告
- 1か月分の未払い定期賃金を直ちに支払うこと
- 始業前の朝礼時間を労働時間として計算し、賃金を支払うこと
- 終業後の作業について法定の割増率以上で計算した割増賃金を支払うこと
- 過去に遡って不足分の割増賃金を再計算し、支払うこと
私の申告を受けて、外国人技能実習機構と労働基準監督署が合同で会社に調査に入りました。
調査の結果、時間外労働に対する適正な割増賃金が支払われていないことが正式に認められました。
労働基準監督署は会社に対して是正勧告を行い、未払い賃金と不足している割増賃金の支払いを命じたのです。



是正勧告とは、労働基準監督署が労働基準法違反を認めた場合に、事業主に対して違反状態の改善を求める行政指導です。法的強制力はありませんが、是正しない場合は送検される可能性があるため、多くの事業主は勧告に従います。
約65万円の未払い賃金を取り戻すまで
是正勧告を受けた会社は、私の労働時間と賃金を再計算しました。
給料明細と実際の労働時間を記録・比較する
まず最初に、毎月の給料明細を必ず保管し、記載されている労働時間と実際の労働時間を比較してください。
スマートフォンのメモ機能やカレンダーアプリを使って、毎日の出勤時刻と退勤時刻を記録しておくと、後から証拠として使えます。
始業前・終業後の作業内容と時間を詳しくメモする
朝礼や準備作業、終業後の残業や「内職」と呼ばれる作業について、何時から何時まで、どんな作業をしたかを具体的に記録します。
写真や動画が撮れる場合は、作業の様子を記録しておくと、より強い証拠になります。
外国人技能実習機構の母国語相談窓口に連絡する
労働基準監督署に申告して調査を依頼する
外国人技能実習機構と連携して、労働基準監督署に申告することができます。
申告は匿名でも可能ですが、実名で申告した方が具体的な調査につながりやすいです。
申告したことを理由に会社が解雇や不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。
是正勧告後の会社の対応を確認する
労働基準監督署が是正勧告を出した後、会社がどのような対応をするか確認します。
会社は通常、是正勧告から一定期間内に是正報告書を提出する必要があります。
未払い賃金が支払われたか銀行口座を確認する
会社から再計算された金額と支払日の連絡を受けたら、実際に銀行口座に振り込まれたか確認します。
私の場合、定期賃金と割増賃金を合わせて約65万円が振り込まれました。
金額に疑問がある場合は、再度、労働基準監督署に相談してください。



未払い賃金の請求権は、発生から3年間(2020年4月1日以降に発生したもの)で時効となります。できるだけ早く行動することで、より多くの未払い賃金を取り戻せる可能性があります。
まとめ:同じ悩みを持つ技能実習生に伝えたいこと
私と同じように、労働条件に疑問を感じている技能実習生の方がいるかもしれません。
「みんな同じだから」「日本語ができないから」と諦めないでください。
- 始業前の朝礼時間も労働時間として賃金が発生する
- 終業後の作業を「内職」と呼んでも割増賃金の支払いは必要
- 外国人技能実習機構には母国語で相談できる窓口がある
- 是正勧告により約65万円の未払い賃金を取り戻すことができた


私はこの経験を通じて、日本にも外国人労働者を守る制度がきちんと存在することを学びました。
おかしいと思ったら、まず記録を取ること、そして勇気を出して相談することが大切です。
一人で悩まず、外国人技能実習機構や労働基準監督署に相談してください。
あなたの権利は、必ず守られます。








