
無資格で玉掛け作業をさせられた技能実習生の体験談
私は建設資材を製造する工場で働く技能実習生です。
ある日、資格がないのに、クレーンを使った玉掛け作業をするように言われました。
「玉掛け」とは、クレーンで荷物を吊り上げるときに、ワイヤーやチェーンを荷物に取り付ける作業のことです。
この作業には特別な資格が必要だと知らず、言われるままに作業をしていました。
しかし、労働基準監督署の立入調査でこの問題が発覚しました。
今は会社が資格を取得させてくれて、安全に作業ができるようになりました。

| 出身国 | ベトナム |
|---|---|
| 日本語能力 | N4程度 |
| 職種 | 工業製品製造業(技能実習) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 技能評価・試験に関する問題 |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和4年) |
まつむらつり上げ荷重が1トン以上のクレーンを使用する玉掛け作業には、玉掛け技能講習を修了した者しか従事できません。これは労働安全衛生法に基づく規制であり、無資格での作業は違法です。事業者には、必要な資格を持つ者に作業させる義務があります。
無資格で玉掛け作業をさせられた経緯
「やってみて」と言われた重量物の吊り上げ作業
工場に来て3か月ほど経った頃のことです。
先輩の作業員から「今日からこの作業を手伝ってほしい」と言われました。
それは、大きなクレーンを使って建設資材をトラックに積み込む作業でした。
私の役割は、資材にワイヤーロープを取り付ける「玉掛け」作業でした。
先輩が「こうやってやるんだよ」と一度見せてくれただけで、すぐに作業を任されました。
重たい資材が頭の上を通過するたびに、怖いと感じていました。
でも、「仕事だから」と思って続けていたのです。



玉掛け作業は非常に危険を伴う作業です。ワイヤーの掛け方を間違えると、荷物が落下して作業員が命を落とすこともあります。そのため、法律で資格を持つ者のみが作業できると定められているのです。
資格が必要な作業だと知らなかった
私は玉掛け作業に資格が必要だとは知りませんでした。
会社からも説明はありませんでした。
他の実習生も同じように、資格がないまま作業をしていました。
「会社がやれと言うのだから、やっていいのだろう」と思っていました。
日本語が十分に分からなかったため、自分で調べることもできませんでした。
今思えば、もっと早く誰かに相談すべきでした。



事業者には、労働者に対してどのような資格が必要かを事前に説明する義務があります。特に外国人労働者に対しては、母国語で分かりやすく説明することが求められています。「知らなかった」では済まされない問題です。
労働基準監督署の立入調査で問題発覚
ある日、労働基準監督署の職員が工場にやってきました。
定期的な立入調査ということでした。
調査の結果、資格を持っていない技能実習生に玉掛け作業を行わせていたことが確認されました。
会社は是正勧告を受けることになりました。
私は初めて、自分がやっていた作業が違法だったことを知りました。
「もし事故が起きていたら」と思うと、背筋が凍る思いでした。



無資格者に玉掛け作業を行わせることは、労働安全衛生法第61条違反となります。違反が発覚した場合、事業者は是正勧告を受け、場合によっては6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
調べて分かった必要な資格と取得方法
この問題をきっかけに、私は日本の仕事で必要な資格について調べました。
工場や建設現場では、様々な作業に資格が必要だということが分かりました。
発見①:玉掛け作業に必要な資格
玉掛け作業の資格要件
- つり上げ荷重1トン以上
- 玉掛け技能講習の修了が必要
- つり上げ荷重1トン未満
- 玉掛け特別教育の修了が必要
- 講習時間
- 技能講習は約19時間(学科と実技)
玉掛け技能講習は、各地の登録教習機関で受講することができます。
講習は日本語で行われますが、外国語に対応した講習機関もあります。
費用は2万円から3万円程度で、通常は会社が負担します。



玉掛け技能講習では、玉掛けの方法、クレーンの種類と特徴、関係法令、合図の方法などを学びます。実技試験もあり、合格しないと資格を取得できません。しっかり学んで、安全に作業できるようになりましょう。
発見②:その他に必要な資格
- フォークリフト運転技能講習(最大荷重1トン以上)
- クレーン運転士免許または特別教育
- アーク溶接特別教育
- 高所作業車運転特別教育
これらの資格がないのに作業を命じられた場合は、会社に資格取得の機会を求める権利があります。
資格取得の費用は、原則として会社が負担すべきものです。
もし会社が対応しない場合は、監理団体やOTITに相談しましょう。



技能実習計画には、実習生が取得すべき資格が記載されています。会社はこの計画に基づいて、必要な資格を取得させる義務があります。計画にない資格が必要な場合も、会社に相談して取得の機会を求めることができます。
会社が行った改善措置と資格取得
是正勧告を受けた後、会社は速やかに対応してくれました。
自分の作業に必要な資格を確認する
まず、自分が行っている作業に資格が必要かどうか確認しましょう。
会社に聞いても分からない場合は、監理団体や外国人技能実習機構に確認できます。
「資格がなくても大丈夫」と言われても、法律で定められている場合は必要です。
資格がない場合は会社に取得を求める
必要な資格を持っていない場合は、会社に資格取得の機会を提供するよう求めましょう。
費用は原則として会社が負担すべきです。
会社が対応しない場合は、監理団体やOTITに相談してください。
外国語対応の講習機関を探す
玉掛け技能講習やフォークリフト技能講習は、外国語(ベトナム語、中国語など)に対応した講習機関もあります。
日本語での講習が難しい場合は、会社に相談して外国語対応の講習機関を探してもらいましょう。
理解できないまま講習を受けても、実際の作業で危険です。
無資格作業を命じられたら断る
資格が必要な作業を無資格で行うことは違法です。
会社から命じられても、「資格がないのでできません」と断る権利があります。
断ったことを理由に不利益な扱いを受けた場合は、外国人技能実習機構(OTIT)に相談してください。
取得した資格証を大切に保管する
技能講習を修了すると、「技能講習修了証」が交付されます。
この修了証は、帰国後も有効です。
転職するときにも役立つので、大切に保管しておきましょう。
作業中は携帯が義務づけられている場合もあります。
困ったときは相談窓口を利用する
資格のことで困ったときは、一人で悩まず相談しましょう。
監理団体、外国人技能実習機構(OTIT)、労働基準監督署などに相談できます。
母国語で相談できる窓口もあります。
自分の安全と権利を守ることは、とても大切なことです。



会社によっては、資格取得を積極的にサポートしてくれるところもあります。資格を取得することで、より安全に、より多くの仕事ができるようになります。自分のキャリアアップにもつながるので、前向きに取り組みましょう。
まとめ:資格は自分と仲間の命を守る
私は資格を取得して、今は安全に玉掛け作業ができるようになりました。
同じように資格がないまま危険な作業をしている人がいるかもしれません。
- 1トン以上のクレーン玉掛け作業には技能講習修了が必要
- 資格取得費用は原則として会社が負担すべき
- 無資格作業を命じられても断る権利がある
- 外国語対応の講習機関も存在する


資格は「面倒なもの」ではなく、自分と仲間の命を守るためのものです。
正しい知識と技術を身につけることで、事故を防ぐことができます。
会社の工場には、労働者の保有資格一覧表が掲示されるようになりました。
誰がどの作業ができるか一目で分かるので、無資格者に作業をさせることはなくなりました。
皆さんも、自分に必要な資格を確認して、安全に働いてください。








