
月110時間超の残業を強いられた技能実習生の体験談
私は建設現場で使う鉄筋の加工工場で働いていた技能実習生です。
在留資格は「技能実習2号」で、配筋の切断や曲げ加工の仕事をしていました。
毎日のように残業があり、月に110時間を超える時間外労働をさせられていました。
体は疲れ切っていましたが、「仕事だから仕方ない」と思い込んでいました。
ある日、外国人技能実習機構の方が工場に来て、私たちの労働時間を調べ始めました。
そこで初めて、自分たちが違法な長時間労働をさせられていたことを知ったのです。

| 出身国 | ベトナム |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 建設(技能実習) |
| 就職ルート | 母国からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和4年) |
まつむら36協定で定められた時間を超える時間外労働は違法です。また、月100時間を超える時間外・休日労働は、過労死ラインとも呼ばれ、健康被害のリスクが高まります。外国人技能実習機構や労働基準監督署に相談することで、状況を改善できる可能性があります。
長時間労働が日常化するまでの経緯
最初は普通だった労働時間
来日して最初の3か月は、それほど残業はありませんでした。
朝8時から夕方5時まで働き、週に数回だけ1〜2時間の残業がある程度でした。
しかし、建設ラッシュが始まると、毎日のように夜9時、10時まで働くようになりました。
「今は忙しい時期だから」と言われ、私たちも頑張って働き続けました。
土曜日も出勤が当たり前になり、日曜日に出勤することもありました。
疲れていても、「みんな同じだから」と自分に言い聞かせていました。



36協定とは、会社と労働者の代表が結ぶ、時間外労働に関する協定です。この協定で定めた時間を超えて残業させることは、たとえ繁忙期であっても違法となります。また、協定があっても月100時間以上の時間外・休日労働は認められていません。
体の不調を感じ始めた日々
長時間労働が続くうちに、体に異変が出始めました。
朝起きても疲れが取れず、仕事中に頭がぼんやりすることが増えました。
同僚の技能実習生も同じように疲れ切っており、「このままでは倒れてしまう」と話していました。
会社に相談しようと思いましたが、「仕事がなくなったら帰国させられる」という不安がありました。
監理団体にも相談しづらく、誰にも言えないまま時間だけが過ぎていきました。
そんなとき、外国人技能実習機構からの通報で労働基準監督署の調査が入ったのです。



長時間労働による健康被害は深刻な問題です。月80時間を超える時間外労働が続くと、脳・心臓疾患のリスクが高まるとされています。体調に異変を感じたら、すぐに医療機関を受診し、労働時間の記録を残しておくことが大切です。
調査で明らかになった違法状態
労働基準監督署の監督官が、私たちのタイムカードや勤務記録を詳しく調べました。
その結果、技能実習生4名全員が、36協定で定めた時間を大幅に超える時間外労働をさせられていたことが判明しました。
最も長い人は、月110時間を超える時間外・休日労働をしていました。
これは明らかに法律違反であり、私たちの健康を脅かす働き方でした。
会社に対して是正勧告が行われ、過重労働による健康障害防止対策として、長時間労働の削減も指導されました。



外国人技能実習機構は、技能実習制度の適正な運用を監督する機関です。労働基準関係法令違反の疑いがある場合、機構から労働基準監督署に通報が行われ、立入調査が実施されます。
情報収集で分かった私たちの権利
調査をきっかけに、労働に関する法律について調べるようになりました。
発見①:労働時間には法律で決められた上限がある
- 原則として月45時間、年360時間が上限
- 特別な事情があっても月100時間未満(休日労働含む)
- 2〜6か月平均で80時間以内(休日労働含む)
- 年720時間以内
労働基準法により、時間外労働には上限が設けられています。
36協定を結んでいても、月100時間以上の時間外・休日労働をさせることは違法です。
私たちの場合、この上限を大幅に超えていたため、明らかな法律違反でした。
会社は「仕事が忙しいから」と言っていましたが、それは理由になりません。



2019年4月から施行された働き方改革関連法により、時間外労働の上限規制が厳格化されました。違反した場合、会社には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
発見②:会社は労働時間を適切に管理する義務がある
会社が行うべき労働時間管理
- 生産計画の早期作成
- 元請企業から受注予想を早めに入手し、無理のない勤務シフトを作成する
- 月中での労働時間チェック
- 毎月の途中で労働時間を算定し、長時間労働を未然に防ぐ
- 柔軟なシフト変更
- 長時間労働になりそうな場合は、勤務シフトを変更して対応する
是正勧告を受けた後、会社は労働時間管理の仕組みを大きく改善しました。
元請企業に受注予想を早期に提出してもらい、計画的な生産体制を整えるようになりました。
毎月の途中で時間外・休日労働時間を算定し、上限に近づいている場合はシフトを変更するなどの対応が取られています。



使用者には、労働者の労働時間を適切に把握・管理する義務があります。タイムカードやICカード、パソコンの使用時間など、客観的な方法で労働時間を記録することが求められています。
私が今すぐ行動すべき6つのステップ
調べた結果、長時間労働で悩んでいる技能実習生がすべきことが明確になりました。
自分の労働時間を正確に記録する
まず、毎日の出勤時間と退勤時間を自分でも記録しておきましょう。
タイムカードだけでなく、スマートフォンのメモやカレンダーアプリを使って記録を残すと安心です。
この記録は、後で労働時間に関する問題が起きたときの重要な証拠になります。
36協定の内容を確認する
会社には、36協定を労働者に周知する義務があります。
自分の会社の36協定で、時間外労働の上限が何時間に設定されているか確認しましょう。
協定の内容が分からない場合は、監理団体や労働基準監督署に問い合わせることができます。
体調の変化を記録しておく
長時間労働が続くと、体に様々な不調が現れます。
頭痛、不眠、疲労感などの症状があれば、いつから始まったか記録しておきましょう。
この記録は、長時間労働と健康被害の因果関係を示す証拠になります。
信頼できる人や機関に相談する
一人で悩まず、信頼できる人に相談することが大切です。
監理団体、外国人技能実習機構、労働基準監督署など、相談できる場所はたくさんあります。
母国語で相談できる窓口もあるので、言葉の心配は不要です。
会社との交渉記録を残す
会社に労働時間の改善を求める場合は、いつ、誰に、何を伝えたか記録しておきましょう。
メールやチャットなど、文字で残る形でやり取りすると証拠として有効です。
改善されない場合は監督機関に申告する
会社に相談しても改善されない場合は、労働基準監督署に申告することができます。
申告は匿名でも可能で、申告したことを理由に不利益な扱いを受けることは法律で禁止されています。
自分の健康と権利を守るために、勇気を持って行動しましょう。



是正勧告後、会社は元請企業と連携して生産計画を早期に立て、勤務シフトを適切に管理するようになりました。毎月途中で労働時間を確認し、長時間労働になりそうな場合はシフト変更で対応する仕組みも整えられました。
まとめ:同じ悩みを持つ技能実習生に伝えたいこと
私と同じように、長時間労働で苦しんでいる技能実習生の方がいるかもしれません。
「仕方ない」と諦めないでください。
- 月100時間を超える時間外・休日労働は法律違反
- 技能実習生も日本の労働法で保護されている
- 外国人技能実習機構や労働基準監督署に相談できる
- 自分の労働時間を記録しておくことが大切


私は外国人技能実習機構の通報がきっかけで、自分の権利を知ることができました。
体を壊してからでは遅いです。
おかしいと思ったら、早めに相談してください。
私たち技能実習生にも、健康に働く権利があります。
一人で悩まず、助けを求める勇気を持ってください。








