
無資格重機運転による死亡労災送検事例
私は建設現場で働いていた技能実習生です。
ある日、一緒に働いていた仲間が重機の事故で亡くなりました。
彼は運転資格を持っていなかったのに、会社から重機を運転するよう言われていたのです。
会社と社長は労働安全衛生法違反で送検されました。
私はこの事故を忘れることができません。
同じような悲しい事故が起きないように、この経験を伝えたいと思います。

| 出身国 | ベトナム |
|---|---|
| 日本語能力 | N4程度 |
| 職種 | 建設(技能実習) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和3年) |
まつむら3トン以上の重機(ショベルカーやブルドーザーなど)を運転するには、特別な資格が必要です。資格のない人に運転させることは、労働安全衛生法違反であり、重大な犯罪です。会社から危険な作業を命じられた時は、断る権利があります。
仲間の死:資格なしで重機を運転させられていた
事故が起きた日のこと
その日は普通の作業日でした。
仲間のトゥアンさん(仮名)は、いつものように重機を運転していました。
彼が運転していたのは、3トン以上のトラクター・ショベルでした。
斜面を降りようとした時、重機がバランスを崩して横転しました。
トゥアンさんは重機の下敷きになり、その場で亡くなりました。
私たちは何もできませんでした。



重機は非常に危険な機械です。適切な訓練を受けていない人が運転すると、このような悲惨な事故が起きる可能性があります。だからこそ、法律で資格が義務付けられているのです。
彼には運転資格がなかった
事故の後、私たちは初めて知りました。
トゥアンさんには重機の運転資格がありませんでした。
機体重量3トン以上のトラクター・ショベルを運転するには、特別な技能講習を受けて資格を取る必要があります。
しかし、会社はその講習を受けさせずに、彼に運転させていたのです。
トゥアンさんは「会社の命令だから」と思って従っていたそうです。
彼は真面目で、会社の言うことをよく聞く人でした。



労働安全衛生法第61条では、危険な業務については資格を持った者しか就かせてはならないと定めています。3トン以上の重機の運転は「就業制限業務」に該当し、無資格者に運転させることは重大な法律違反です。
会社の安全管理の問題が明らかに
事故の後、労働基準監督署の調査が行われました。
調査の結果、会社には多くの問題があることが分かりました。
- 無資格の実習生に3トン以上の重機を運転させていた
- 必要な安全教育を実施していなかった
- 実習生の資格取得を支援していなかった
- 危険な斜面での作業手順が定められていなかった
会社は経費を節約するために、資格講習を受けさせていなかったようです。
人の命よりお金を優先した結果、取り返しのつかない事故が起きてしまいました。



重機の技能講習は通常2~3日程度で、費用は3~5万円程度です。この投資を惜しんだ結果、若い命が失われました。会社の責任は非常に重いです。
会社と社長が送検された理由
調査の結果、会社と社長は検察庁に送検されました。
労働安全衛生法第61条違反(就業制限)
資格が必要な重機の種類
- 3トン以上の車両系建設機械
- 技能講習修了証が必要(ショベルカー、ブルドーザーなど)
- 3トン未満の車両系建設機械
- 特別教育の受講が必要
- クレーン・玉掛け作業
- 吊り上げ荷重に応じた資格が必要
法律では、危険な業務には資格を持った人しか就かせてはいけません。
機体重量3トン以上のトラクター・ショベルの運転は、技能講習を修了した人だけが行えます。
これは労働安全衛生法第61条第1項と、同法施行令第20条第12号で定められています。
違反した場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。



今回の事故では、無資格者に危険な作業をさせた結果、死亡事故が発生しました。このような場合、会社と経営者は業務上過失致死罪にも問われる可能性があります。労働安全衛生法違反だけでなく、刑法上の責任も追及されます。
自分の身を守るために知っておくべきこと
トゥアンさんのような悲しい事故を繰り返さないために、大切なことをお伝えします。
自分の作業に必要な資格を確認する
まず、自分が行っている作業に資格が必要かどうか確認しましょう。
重機の運転、高所作業、危険物の取り扱いなど、多くの作業に資格が必要です。
分からない場合は、監理団体や外国人技能実習機構(OTIT)に相談してください。
資格がない作業は断る勇気を持つ
資格のない作業を命じられた場合、断る権利があります。
「会社の命令だから」と従う必要はありません。
危険な作業を断ることは、自分の命を守る行動です。
会社が無理に作業を強要する場合は、すぐに相談機関に連絡してください。
会社に資格取得の支援を求める
資格が必要な作業を行う場合は、会社に資格取得の支援を求めてください。
技能実習計画に含まれている資格であれば、会社は講習を受けさせる義務があります。
資格取得の費用は会社が負担するのが原則です。
安全教育を受ける権利を主張する
会社には、労働者に安全教育を行う義務があります。
新しい作業を始める前や、危険な機械を使う前には、必ず教育を受けてください。
安全教育なしで危険な作業をさせることは違法です。
危険を感じたらOTITに相談する
職場で危険を感じたら、すぐに外国人技能実習機構(OTIT)に相談してください。
電話番号は0120-250-168で、母国語で相談できます。
相談したことで会社から不利益な扱いを受けることは禁止されています。
命に関わることは、迷わず相談してください。
労働災害が起きたら労働基準監督署に報告する
もし職場で事故が起きた場合は、必ず労働基準監督署に報告されるようにしてください。
会社が事故を隠そうとすることがありますが、これは違法です。
労働災害の隠蔽は重大な犯罪です。
直接労働基準監督署に連絡することもできます。



「断ったら仕事を失う」と心配する気持ちは分かります。しかし、危険な作業で命を失ってしまったら、取り返しがつきません。技能実習生にも日本人労働者と同じ権利があります。危険な作業を断っても、それを理由に解雇することは違法です。
まとめ:命より大切な仕事はない
トゥアンさんの事故から、私は大切なことを学びました。
- 3トン以上の重機を運転するには資格が必要
- 無資格で危険な作業をさせることは重大な法律違反
- 資格のない作業を命じられたら断る権利がある
- 危険を感じたらすぐにOTITや労働基準監督署に相談する


命より大切な仕事はありません。
会社の命令でも、危険なことは断っていいのです。
トゥアンさんのような悲しい事故が二度と起きないように、私はこの経験を伝え続けます。
もし今、危険な状況にある方がいれば、今すぐ相談してください。
あなたの命を守れるのは、あなた自身です。








