
違法時間外労働と虚偽記録での送検事例
私は食品加工工場で働いていた技能実習生です。
毎日の残業は当たり前で、1か月の残業時間が100時間を超えることもありました。
体はとても疲れていましたが、「仕事だから仕方ない」と思っていました。
ある日、外国人技能実習機構(OTIT)の人が工場に来ました。
その後、会社が違法な残業をさせ、さらに記録を改ざんしていたことが発覚しました。
会社と社長は労働基準法違反で送検されました。

| 出身国 | 中国 |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 飲食料品製造業(技能実習) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和3年) |
まつむら残業時間には法律で上限が定められています。また、会社が労働時間の記録を改ざんすることは重大な違法行為です。このような悪質なケースでは、会社と経営者が刑事罰を受けることがあります。長時間労働で悩んでいる方は、早めに相談してください。
異常な長時間労働が当たり前だった日々
毎日続く終わりの見えない残業
私が働いていた食品加工工場は、常に忙しい状態でした。
朝7時に出勤して、夜10時や11時まで働くことも珍しくありませんでした。
1か月の残業時間が109時間になったこともあります。
休日出勤も多く、週に1日も休めない時期がありました。
体は疲れ切っていましたが、他の実習生も同じように働いていたので、「これが普通なんだ」と思っていました。



労働基準法では、36協定を結んでいても、残業時間には上限があります。原則として月45時間・年360時間が上限です。特別な事情がある場合でも、月100時間未満、複数月平均80時間以内という絶対的な上限があります。109時間の残業は明らかな法律違反です。
タイムカードと実際の労働時間の違い
不思議なことがありました。
毎日長時間働いているのに、給与明細に書かれている残業時間が実際より少なかったのです。
上司に聞くと、「タイムカードは7時から19時までしか記録しないルールだ」と言われました。
19時以降の残業は記録されていなかったのです。
でも、その時の私は日本語があまり上手ではなく、何が正しいのか分かりませんでした。



会社には労働時間を正確に記録する義務があります。タイムカードの記録を意図的に短くすることは、労働基準法第108条(賃金台帳)違反となります。これは単なる違反ではなく、刑事罰の対象となる犯罪行為です。
OTITの調査で明らかになった違法行為
ある日、外国人技能実習機構(OTIT)の職員が工場に調査に来ました。
私たちは個別に面談を受け、働き方について質問されました。
正直に、毎日の労働時間や休日出勤のことを話しました。
その後、労働基準監督署も調査に入りました。
調査の結果、会社の重大な違法行為が明らかになりました。
- 36協定で定める上限を超えた違法な時間外労働(最大109時間/月)
- 労働時間の記録を改ざんし、実際より短い時間を記録
- 虚偽の時間外労働時間を賃金台帳に記入
- 技能実習生3名に対する継続的な法令違反



会社が労働時間を改ざんするのは、残業代の支払いを逃れるためだけでなく、労働基準監督署の監督を逃れるためでもあります。このような行為は、労働者の健康を無視した悪質な行為であり、厳しく罰せられます。
会社と社長が送検された理由
調査の結果、会社と社長は検察庁に送検されました。
労働基準法第32条違反(労働時間)
会社は36協定を結んでいましたが、その上限を大幅に超えた残業をさせていました。
36協定で月45時間と定めていたのに、実際は最大109時間の残業をさせていたのです。
これは労働基準法第32条第1項・第2項に違反します。
残業時間の法的上限
- 原則的な上限
- 月45時間、年360時間まで
- 特別条項がある場合でも
- 月100時間未満(絶対上限)
- 複数月の平均
- 2~6か月平均で80時間以内
労働基準法第108条違反(賃金台帳)
会社は労働時間の記録を改ざんし、虚偽の時間を賃金台帳に記入していました。
正しい時間外労働時間数と割増賃金額を記録していなかったのです。
これは労働基準法第108条に違反します。
労働基準法違反には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。



送検とは、警察や労働基準監督署が犯罪の疑いがある事件を検察官に送ることです。検察官が起訴すれば、裁判が行われます。有罪になれば、会社には罰金、経営者には懲役や罰金が科される可能性があります。
長時間労働から身を守るためにできること
私と同じように長時間労働で苦しんでいる方に、対処法をお伝えします。
自分で労働時間を記録する
会社の記録とは別に、自分で労働時間を記録してください。
出勤時間、退勤時間、休憩時間を毎日メモしましょう。
スマートフォンのメモアプリを使うと便利です。
位置情報付きで記録できるアプリもあります。
タイムカードの写真を撮って保存する
タイムカードの写真を毎日撮ってください。
会社が記録を改ざんしても、写真があれば証拠になります。
写真はクラウドサービス(GoogleドライブやiCloudなど)に保存すると、消されても安心です。
給与明細と実際の労働時間を比較する
給与明細に書かれている残業時間と、自分の記録を比べてください。
もし差がある場合は、会社が記録を改ざんしている可能性があります。
給与明細は必ず保管しておきましょう。
36協定の内容を確認する
36協定とは、会社と労働者の間で残業について決めた約束です。
会社には36協定を従業員に見せる義務があります。
36協定で決められた上限を超える残業は違法です。
上司に「36協定を見せてください」と言ってみましょう。
OTITまたは労働基準監督署に相談する
違法な長時間労働が行われている場合は、すぐに相談してください。
技能実習生の場合は、外国人技能実習機構(OTIT)に相談できます。
電話番号は0120-250-168で、母国語で相談できます。
労働基準監督署に直接相談することもできます。
体調の変化を記録して健康を守る
長時間労働は体と心の健康に悪影響を与えます。
疲れ、頭痛、眠れない、食欲がないなどの症状があれば記録してください。
過労で体調を崩した場合、労災として認められる可能性があります。
体調が悪い時は無理せず、病院に行ってください。



月80時間を超える残業が続くと、過労死のリスクが高まると言われています。自分の命と健康を守るために、長時間労働には早めに対処してください。会社の記録が信用できない場合は、必ず自分で記録を残しましょう。
まとめ:違法な長時間労働は許されない
私の経験が、同じように苦しんでいる方の助けになれば嬉しいです。
- 残業時間には法律で上限がある(原則月45時間、絶対上限月100時間未満)
- 労働時間の記録改ざんは重大な犯罪行為
- 自分で労働時間を記録し、証拠を残すことが大切
- 違法な長時間労働はOTITや労働基準監督署に相談できる


長時間労働は体と心を壊します。
「みんな同じだから仕方ない」と諦めないでください。
法律はあなたを守るためにあります。
勇気を出して相談すれば、状況は必ず変わります。
あなたの健康と命が一番大切です。








