
準備作業時間の賃金未払い申告事例
私は建設現場で働いていた技能実習生です。
毎朝、現場に着いてから荷物の積み下ろしや道具の準備をしていました。
この準備作業には毎日30分から1時間かかっていましたが、この時間の給料は一度も支払われませんでした。
会社は「準備は仕事じゃない」と言っていました。
でも、準備をしないと仕事ができないので、私には納得できませんでした。
労働基準監督署に相談したところ、約1.4万円の未払い賃金が支払われました。

| 出身国 | インドネシア |
|---|---|
| 日本語能力 | N4程度 |
| 職種 | 建設(技能実習) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和3年) |
まつむら会社の指示で行う準備作業や片付け作業は、たとえ短時間でも「労働時間」に含まれます。この時間に対して賃金が支払われていない場合は、労働基準法違反となります。今回のケースのように、泣き寝入りせずに相談することで、未払い賃金を取り戻すことができます。
準備作業の賃金が支払われないことに気づくまで
毎朝の準備作業と夕方の片付け
私は毎朝6時30分に現場に到着していました。
仕事の開始は7時と言われていましたが、その前に準備が必要でした。
トラックから資材を下ろしたり、工具を準備したり、安全確認をしたりしていました。
この準備作業は会社の指示で行っていましたが、タイムカードは7時から記録されていました。
夕方も同じでした。
17時に仕事が終わった後、道具の片付けや清掃をしていました。
これにも15分から30分かかっていましたが、この時間も記録されませんでした。



労働時間とは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことです。会社の指示で準備や片付けを行っている時間は、たとえ作業時間外とされていても、法律上は労働時間として扱われます。
同僚からの情報で疑問を持つ
ある日、同じ会社で働いている日本人の同僚と話をしました。
その人は「準備時間も給料がもらえるはずだよ」と教えてくれました。
私はびっくりしました。
1年以上働いていましたが、準備時間の給料をもらったことは一度もありませんでした。
同僚は「会社に聞いてみたほうがいい」と言いましたが、私は怖くて聞けませんでした。
技能実習生という立場で、会社と問題を起こしたくなかったからです。



技能実習生であっても、日本人労働者と同じ労働基準法で保護されています。会社に直接言いにくい場合は、労働基準監督署や外国人技能実習機構(OTIT)に相談することができます。相談したことで不利益な扱いを受けることは法律で禁止されています。
不安の中での情報収集
会社に直接聞く勇気がなかった私は、まず自分で調べることにしました。
インターネットで「準備時間 給料」と検索しました。
すると、会社の指示で行う準備作業は労働時間に含まれるという情報を見つけました。
また、外国人技能実習機構(OTIT)という組織があることも知りました。
この機関は技能実習生の相談を受け付けているとのことでした。



外国人技能実習機構(OTIT)は、技能実習生の保護を目的とした公的機関です。母国語での相談も可能で、秘密は守られます。労働問題だけでなく、生活の悩みなども相談できます。
労働基準監督署への相談で分かったこと
友人の助けを借りて、労働基準監督署に相談に行きました。
準備時間は労働時間である
労働時間に含まれる作業の例
- 始業前の準備作業
- 資材の積み下ろし、工具の準備、朝礼への参加など
- 終業後の片付け作業
- 道具の清掃、現場の整理、翌日の準備など
- 待機時間
- 会社の指示で待機している時間も労働時間に含まれる
労働基準監督署の職員は丁寧に説明してくれました。
会社の指示で行う準備作業は、法律上「労働時間」として扱われます。
そして、労働時間には賃金を支払う義務があります。
もしこの時間が法定労働時間を超えていれば、割増賃金も必要です。
私の場合、準備作業が毎日30分から1時間あったので、かなりの金額になることが分かりました。



労働基準法第37条第1項では、法定労働時間を超えた労働に対して、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。準備作業の時間が法定労働時間を超えていた場合、この割増賃金も請求できます。
会社への是正勧告
労働基準監督署は会社を調査しました。
調査の結果、私だけでなく他の従業員も同じ状況であることが分かりました。
会社は労働基準法第37条第1項(割増賃金の支払)に違反していると認められました。
労働基準監督署から会社に対して是正勧告が出されました。
是正勧告とは、法律違反を直すように求める命令のことです。



是正勧告を受けた会社は、期限内に違反を是正して報告する義務があります。是正しない場合は、より厳しい措置が取られることもあります。会社が是正に応じることで、労働者の権利が守られます。
未払い賃金の支払いと今後の対策
会社は是正勧告を受けて、対応を改めました。
私に対しては、支払われていなかった賃金の不足額、約1.4万円が支払われました。
金額は大きくありませんでしたが、自分の権利を主張して認められたことがとても嬉しかったです。
また、会社は今後、準備作業の時間も正しく記録するようになりました。
私だけでなく、一緒に働いている仲間のためにもなったと思います。
同じ悩みを持つ人へ伝えたい行動ステップ
準備作業の賃金が支払われていないと感じたら、以下のステップで行動してください。
準備作業の内容と時間を毎日記録する
まず、毎日の準備作業を詳しく記録しましょう。
何時に現場に着いたか、どんな作業をしたか、何時に終わったかをメモします。
スマートフォンのメモ機能やノートを使って、毎日続けることが大切です。
この記録が後で証拠として役立ちます。
タイムカードと実際の出勤時間の差を確認する
タイムカードに記録されている時間と、実際に働いている時間を比べてください。
もし差がある場合は、その時間分の賃金が支払われていない可能性があります。
できればタイムカードの写真を撮って保存しておきましょう。
証拠となる資料を集めて保管する
給与明細、雇用契約書、タイムカードの写真など、証拠になる資料を集めましょう。
同僚が証言してくれる場合は、その人の連絡先もメモしておきます。
資料はスマートフォンで写真を撮り、クラウドサービスに保存しておくと安心です。
外国人技能実習機構(OTIT)に相談する
技能実習生の場合は、まず外国人技能実習機構(OTIT)に相談することをおすすめします。
母国語で相談でき、秘密も守られます。
電話相談は0120-250-168で、無料で相談できます。
OTITの職員が会社との間に入って調整してくれることもあります。
労働基準監督署に申告する
OTITで解決しない場合や、より強い対応が必要な場合は、労働基準監督署に申告します。
集めた証拠を持って窓口に行き、状況を説明してください。
申告は匿名でもできますし、申告したことで不利益な扱いを受けることは法律で禁止されています。
未払い賃金の請求を行う
労働基準監督署の是正勧告により、会社が未払い賃金を支払うことになります。
もし会社が支払いを拒否した場合は、労働審判や裁判で請求することも可能です。
未払い賃金の請求権は3年間あります。
諦めずに、自分の権利を守りましょう。



準備作業の時間が短いと「このくらいいいか」と思ってしまうかもしれません。しかし、毎日30分の積み重ねは、1年で約180時間、時給1,000円でも18万円になります。自分の労働に対する正当な対価を受け取る権利は、すべての労働者にあります。
まとめ:準備作業も立派な労働です
同じように準備作業の賃金で悩んでいる方がいるかもしれません。
一人で抱え込まないでください。
- 会社の指示で行う準備・片付け作業は労働時間に含まれる
- 労働時間には賃金を支払う義務がある
- 外国人技能実習機構(OTIT)や労働基準監督署に相談できる
- 未払い賃金は3年間請求できる


私は勇気を出して相談したことで、未払いだった賃金を受け取ることができました。
準備作業も立派な労働であり、その対価を受け取る権利があります。
もし同じような状況にある方は、ぜひ相談してみてください。
あなたの行動が、自分だけでなく他の仲間を守ることにもつながります。








