
セクハラ疑惑で即日解雇された私が復職できた理由
私は日本の飲食店で働いていた外国人です。
在留資格は「特定技能1号」で、日本語は日常会話程度ですが、仕事は一生懸命頑張っていました。
ある日、同僚の女性の手に触れてしまったことがきっかけで、突然「今日で辞めてください」と言われ、即日解雇されてしまいました。
確かに触ったことは事実ですが、わざとではありませんでした。
それなのに、説明も聞いてもらえず、いきなり仕事を失ってしまったのです。

| 出身国 | – |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 外食業(特定技能1号) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 言語・文化の違いによるトラブル 就労態度に関するトラブル |
| 参照元 | 平成22年東京都の労働相談の状況 – 外国人労働相談 |
まつむらセクシュアルハラスメントを理由とした解雇であっても、会社は適切な手続きと合理的な理由が必要です。即日解雇は「懲戒解雇」にあたる可能性がありますが、懲戒解雇が有効となるには厳格な要件があります。今回のケースでは、処分が重すぎる可能性があり、復職や解雇予告手当の請求ができる可能性があります。
突然の解雇通告を受けるまでの経緯
何気ない行動が大きな問題に発展
私は飲食店の洗い場で働いていました。
仕事は忙しかったですが、同僚の皆さんとも仲良くやっていました。
ある日の仕事終わり、同僚の女性と一緒にエレベーターに乗りました。
エレベーターの中で、ふとした拍子に彼女の手に触れてしまったのです。
その時は特に何も言われませんでしたし、私も悪気はありませんでした。
しかし数日後、店長に呼ばれて「女性スタッフからセクハラの訴えがあった」と言われました。
私は正直に「エレベーターで手に触れてしまったことはあります」と説明しました。
また、仕事のことで何度か彼女に電話したこともあったため、それも伝えました。



セクシュアルハラスメントの定義は、相手が不快に感じる性的な言動です。意図的でなくても、相手が不快に感じれば問題となる可能性があります。しかし、懲戒処分の重さは、行為の悪質性、継続性、反省の有無などを総合的に判断する必要があります。
説明の機会もなく告げられた即日解雇
事実を認めた私に対し、店長は冷たい口調でこう言いました。
「女性スタッフが怖がっているので、今日で辞めてもらいます。もう来なくていいです」
私は驚きました。
確かに手に触れたことは申し訳なかったですが、それは故意ではありませんでした。
電話についても、仕事の引き継ぎで必要だったから連絡しただけです。
「謝罪する機会をください」「もう一度説明させてください」と頼みましたが、聞き入れてもらえませんでした。
その日のうちに荷物をまとめて、店を出ることになりました。
解雇予告手当の話もなく、ただ「辞めてくれ」と言われただけでした。



労働基準法では、解雇する場合は30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。ただし、「労働者の責に帰すべき事由」がある場合は、労働基準監督署の認定を受けることで、解雇予告手当なしでの即日解雇が可能になります。しかし、この認定は厳格に判断されます。
解雇後に抱えた不安と疑問
突然仕事を失い、私は大きな不安を抱えました。
在留資格はどうなるのか、生活費はどうするのか、次の仕事は見つかるのか。
何より、このような形で解雇されることが本当に正しいのか疑問でした。
確かに私の行動に問題があったかもしれません。
しかし、故意ではなかったこと、一度の出来事であったこと、そして謝罪の機会すら与えられなかったことを考えると、即日解雇は厳しすぎるのではないかと感じました。
同僚に相談すると、「労働センターに相談してみたら?」とアドバイスされました。
日本語に自信がなかったのですが、通訳サービスがあると聞き、思い切って相談に行くことにしました。



解雇に納得がいかない場合、労働基準監督署や労働局、法テラスなどの公的機関に相談することができます。多くの機関では外国語対応や通訳サービスを提供しているので、日本語が不安な方でも安心して相談できます。
労働センターで知った私の権利
労働センターで相談員の方に状況を説明したところ、私にも主張できる権利があることを教えてもらいました。
即日解雇には厳格な要件が必要
- 就業規則に懲戒事由が明記されている
- 行為の悪質性が極めて高い
- 会社の秩序を著しく乱した
- 弁明の機会が与えられている
- 処分の相当性がある


相談員の方から、「今回の解雇は懲戒解雇にあたる可能性が高いが、処分として重すぎる」という指摘を受けました。
懲戒解雇とは、労働者の重大な規律違反や非行に対する最も重い処分です。
しかし、懲戒解雇が有効となるには、上記のような厳格な要件を満たす必要があります。
私のケースでは、確かに女性スタッフに不快な思いをさせてしまったことは事実です。
しかし、意図的な行為ではなく、一度きりの出来事であり、弁明の機会も与えられませんでした。
このような状況で即日解雇は「過剰反応」であり、処分の相当性を欠く可能性があると教えてもらいました。



懲戒処分は、行為の軽重に応じて、戒告、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇などがあります。最も重い懲戒解雇は、横領や暴行など、雇用関係を継続できないほど重大な事由がある場合にのみ認められます。過去の裁判例でも、一度の過失的な行為で懲戒解雇が無効とされたケースは多くあります。
復職または解雇予告手当を求める権利
相談員の方から、私には2つの選択肢があると教えられました。
解雇が不当な場合の選択肢
- 復職を求める
- 解雇の無効を主張し、職場復帰を要求する
- 解雇期間中の賃金の支払いも請求できる
- 解雇予告手当を求める
- 復職は難しくても、最低限30日分の賃金を請求する
- 不当解雇の場合、さらに慰謝料を求めることも可能
私の場合、できれば仕事を続けたかったので、まずは復職を希望することにしました。
それが難しい場合でも、少なくとも解雇予告手当は受け取る権利があります。
労働センターの相談員が会社側に連絡を取り、交渉してくれることになりました。



労働センターや労働局では、あっせん制度を利用できます。あっせんとは、専門家が労働者と会社の間に入り、話し合いによる解決を目指す制度です。裁判よりも簡易で、費用もかからないため、多くの労働トラブルで活用されています。
労働センターの交渉で得られた解決策
労働センターの相談員が会社に事情を聞いてくれました。
会社側は「女性スタッフからの訴えがあり、本人も事実を認めたので解雇した」と説明したそうです。
しかし相談員から、「処分として即日解雇は重すぎるのではないか。過剰反応とも思われる」と指摘されました。
会社側は最初、解雇の撤回には難色を示していました。
しかし、相談員が粘り強く交渉を続けた結果、会社から新しい提案がありました。
- 同じ店舗への復職は難しい(被害者である女性スタッフへの配慮)
- しかし、系列店の別店舗であれば復職可能
- 給与や待遇は以前と同じ条件
- 今回の件については厳重注意として記録に残す
私はこの提案を受け入れることにしました。
確かに、被害を受けた女性スタッフと同じ職場で働くことは、彼女にとっても私にとっても良くありません。
別の店舗で新しいスタートを切ることができるなら、それが最善だと思いました。
労働センターの支援がなければ、このような解決には至らなかったと思います。



今回のような解決は「和解」と呼ばれます。双方が歩み寄ることで、裁判よりも早く、関係性を保ちながら問題を解決できます。特に外国人労働者の場合、在留資格への影響も考慮すると、早期の解決は重要です。
同じような状況に直面した時の行動指針
私の経験から、もし同じようなトラブルに遭った場合にどう対応すべきか、具体的な行動手順をまとめました。
解雇の理由と状況を詳しく記録する
解雇を告げられたら、すぐに以下の情報を記録してください。
いつ、どこで、誰から、どのような言葉で解雇を告げられたかを詳しくメモします。
その場にいた人、解雇理由として挙げられた事実、あなたの発言なども記録しておきましょう。
可能であれば、会話を録音することも有効です。
解雇通知書や関連書類を保管する
解雇通知書、労働契約書、給与明細、就業規則など、関連する書類はすべて保管してください。
会社からの電子メールやメッセージも証拠になります。
もし解雇通知書がもらえない場合は、「書面での通知を求めます」と会社に伝えましょう。
労働センターや法テラスに相談する
できるだけ早く、法テラスや労働局の総合労働相談コーナーに連絡してください。
外国語での相談が可能な窓口も多くあります。
相談は無料で、専門家があなたの状況を客観的に判断し、適切なアドバイスをしてくれます。
復職または解雇予告手当の請求を検討する
あなたの希望に応じて、復職を求めるか、解雇予告手当を請求するかを決めます。
復職が難しい場合でも、解雇予告手当(30日分以上の賃金)を請求する権利があります。
不当解雇の場合は、さらに慰謝料や解雇期間中の賃金も請求できる可能性があります。
在留資格への影響を確認し必要な手続きを行う
解雇されると、在留資格にも影響が出る可能性があります。
「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などの就労ビザの場合、退職後14日以内に入国管理局への届出が必要です。
次の仕事が見つからない場合は、就職活動のための「特定活動」への変更も検討しましょう。
在留資格の問題については、行政書士や弁護士に相談することをおすすめします。
専門家の支援を受けながら会社と交渉する
労働センターや弁護士の支援を受けながら、会社と交渉を進めます。
あっせん制度を利用すれば、専門家が間に入って話し合いを進めてくれます。
それでも解決しない場合は、労働審判や裁判という方法もありますが、まずは話し合いによる解決を目指しましょう。
一人で会社と交渉するのは難しいので、必ず専門家のサポートを受けることが重要です。



解雇トラブルは、対応が早ければ早いほど解決しやすくなります。特に在留資格への影響を考えると、時間との勝負です。迷わず、すぐに専門機関に相談してください。
まとめ:不当な解雇に泣き寝入りしないために
同じような状況で悩んでいる外国人労働者の方に、私の経験が少しでも役立てば嬉しいです。
- 即日解雇には厳格な要件があり、処分が重すぎる場合は無効を主張できる
- 解雇に納得できない場合は、労働センターや法テラスに相談できる
- 復職または解雇予告手当の請求が可能で、専門家の支援で交渉できる
- 在留資格への影響もあるため、早めに行動することが重要


私は今、新しい店舗で心機一転、頑張って働いています。
今回の経験から学んだことは、問題が起きたら一人で抱え込まず、必ず専門家に相談することの大切さです。
日本語が完璧でなくても、通訳サービスを利用できる相談窓口がたくさんあります。
また、自分の行動に問題があった場合でも、処分が適切かどうかは別の問題です。
会社の言うことが絶対ではなく、労働者にも守られる権利があります。
もし解雇されて困っている方がいたら、諦めずに相談してください。
きっと解決の道が見つかるはずです。









