
無資格でフォークリフトを運転させられた建設現場
私は建設現場で働いていた外国人技能実習生です。
在留資格は「技能実習2号」で、母国では建設の経験がありました。
ある日、上司から「フォークリフトを運転してくれ」と指示されました。
私はフォークリフトの運転資格を持っていませんでしたが、「大丈夫、簡単だから」と言われました。
断りたかったのですが、仕事を失うことが怖くて従ってしまいました。
この状況を知った人が通報し、労働基準監督署の調査が入りました。

| 出身国 | インドネシア |
|---|---|
| 日本語能力 | N4程度 |
| 職種 | 建設(技能実習) |
| 就職ルート | 母国からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 言語・文化の違いによるトラブル |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和3年) |
まつむら最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転するには、技能講習を修了した資格が必要です。資格のない人に運転させることは労働安全衛生法違反であり、会社には罰則が科される可能性があります。断る勇気を持つことも大切ですが、そもそも会社が無資格運転を指示すること自体が違法です。
無資格運転を指示されるまでの経緯
建設現場での仕事と人手不足
私が日本の建設会社で働き始めたのは2年前のことです。
主な仕事は資材の運搬や整理で、毎日汗を流して働いていました。
現場は常に人手不足で、一人で何役もこなすことが求められていました。
フォークリフトを運転できる人も少なく、資格を持つ先輩が休むと作業が滞ることがよくありました。
ある日、フォークリフトの資格を持つ先輩が急に休みを取りました。
その日に限って、大量の資材を移動させる必要がありました。



人手不足や納期のプレッシャーがあっても、無資格者に危険な作業をさせることは許されません。フォークリフトによる事故は、死亡や重傷につながることが多いため、資格制度が設けられているのです。
断れなかった上司からの指示
その日の朝、上司から「今日はフォークリフトを運転してくれ」と言われました。
私は「資格を持っていません」と答えましたが、「見ていれば分かるだろう。簡単だから大丈夫」と押し切られました。
「でも、危ないです」と言いましたが、「早くしないと工事が遅れる」と怒られてしまいました。
日本語もあまり上手ではなく、これ以上説明する言葉が見つかりませんでした。
技能実習生という立場で、上司の指示に逆らうことはとても難しいことでした。
結局、見よう見まねでフォークリフトを運転することになってしまいました。
幸い事故は起きませんでしたが、運転中はずっと怖くて手が震えていました。



上司の指示でも、違法な作業を断る権利があります。労働安全衛生法では、危険な作業について労働者が拒否する権利を認めています。また、拒否したことを理由に不利益な扱いを受けることも禁止されています。
通報と調査で明らかになった違法行為
私が無資格でフォークリフトを運転していることを、たまたま現場を訪れた人が見ていました。
その人が労働基準監督署に通報し、後日、立入調査が行われました。
調査の結果、私だけでなく、他の技能実習生も無資格でフォークリフトを運転させられていたことが分かりました。
会社は労働安全衛生法第61条第1項に違反しているとして、是正勧告を受けました。
「技能講習を修了していない労働者に、最大1トン以上のフォークリフトの運転業務を行わせてはならない」というルールに違反していたのです。



フォークリフトの就業制限は、労働安全衛生法第61条と労働安全衛生法施行令第20条第11号、労働安全衛生規則第41条に基づいています。違反した場合、会社には6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
調査で分かった資格と安全に関する権利
今回の経験を通じて、私は資格制度の大切さと自分の権利について学びました。
資格が必要な作業の種類
- フォークリフトの運転(最大荷重1トン以上)
- クレーンの運転(つり上げ荷重5トン以上)
- 玉掛け作業(つり上げ荷重1トン以上)
- 高所作業車の運転(作業床の高さ10メートル以上)
建設現場には、資格がないと行ってはいけない作業がたくさんあります。
これらの資格制度は、労働者の命を守るために設けられています。
「簡単そうだから」「人がいないから」という理由で無資格者に作業させることは違法です。
もし無資格で作業をさせられそうになったら、はっきり断る権利があります。



資格が必要な作業は「就業制限業務」と呼ばれ、法律で厳しく規制されています。資格を取得するための技能講習は、会社の費用負担で受けられることが多いです。資格を取りたい場合は、会社に相談してみてください。
危険な作業を断る権利
無資格作業を断った場合と従った場合の違い
- 断った場合
- 自分の安全を守ることができる
- 拒否を理由にした不利益扱いは違法
- 従った場合
- 事故が起きると自分も被害を受ける
- 場合によっては労働者も処罰される可能性
- 相談した場合
- 監督署や支援機関が対応してくれる
- 会社の違法行為を止めることができる
労働者には、危険な作業を断る権利があります。
上司の指示であっても、資格のない作業をさせられそうになったら断ることができます。
断ったことを理由に解雇や減給などの不利益な扱いを受けることは法律で禁止されています。
もし不利益な扱いを受けた場合は、労働基準監督署に相談してください。



技能実習生の場合は、外国人技能実習機構(OTIT)にも相談できます。母国語での相談が可能で、会社への指導や転籍支援なども行っています。一人で悩まず、専門機関に相談することが大切です。
会社の改善と私が伝えたいこと
是正勧告を受けた後、会社は様々な改善に取り組みました。
資格が必要な作業かどうか確認する
新しい作業を指示されたら、まず資格が必要かどうか確認してください。
分からない場合は、「この作業は資格が必要ですか?」と上司に質問しましょう。
フォークリフト、クレーン、高所作業車などは資格が必要な代表的な作業です。
無資格作業を指示されたら断る
資格のない作業を指示されたら、「資格がないのでできません」とはっきり伝えてください。
日本語で伝えるのが難しい場合は、紙に書いて見せるのも一つの方法です。
断ることは悪いことではありません。自分と周りの人の安全を守るための正しい行動です。
断れない場合は外部に相談する
上司が強く指示してきて断れない場合は、外部の相談窓口を利用してください。
技能実習生であれば、外国人技能実習機構(OTIT)に相談できます。
電話番号は0120-250-168(無料)で、多言語対応しています。
証拠を残しておく
無資格作業を指示されたことは、日時、場所、誰から言われたか、何を言われたかを記録しておいてください。
LINEやメールで指示された場合は、スクリーンショットを保存しておきましょう。
この記録は、後で相談するときに重要な証拠になります。
資格取得の機会を求める
フォークリフトなどの資格を取得したい場合は、会社に相談してみてください。
技能講習の費用は会社が負担することが多いです。
資格を持っていれば、より多くの仕事ができるようになり、キャリアアップにもつながります。
安全教育をしっかり受ける
会社が行う安全教育は、しっかり受けてください。
日本語が分からない部分があれば、質問したり、母国語での説明を求めたりしましょう。
安全教育は、あなたの命を守るためのものです。
分からないまま作業を始めることは、とても危険です。



私の会社では是正勧告後、無資格者にはフォークリフトを絶対に運転させないという安全教育が徹底されました。また、複数の労働者にフォークリフトの資格を取得させ、有資格者が不在にならない体制が作られました。
まとめ:断る勇気と相談する勇気
私と同じように、無資格での作業を指示されて困っている外国人労働者の方がいるかもしれません。
「仕事を失うかもしれない」という不安は、私もよく分かります。
- 最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転には資格が必要
- 無資格者に運転させることは会社の違法行為
- 危険な作業を断る権利は法律で守られている
- 困ったときは外国人技能実習機構や労働基準監督署に相談できる


でも、あなたの命より大切な仕事はありません。
無資格で危険な作業をして事故を起こしたら、取り返しがつきません。
断る勇気、相談する勇気を持ってください。
あなたを助けてくれる機関や人は必ずいます。
一人で悩まないでください。








