
月100時間超の残業を強いられた運送業の体験談
私は陸上貨物を扱う運送会社で働いていた外国人です。
在留資格は「技能実習」で、日本語は日常会話程度なら問題なく話せます。
毎日朝早くから夜遅くまで働き続け、ある月は100時間を超える残業をさせられていました。
疲れが取れないまま翌日も出勤する日々が続き、体調を崩すこともありました。
さらに、有給休暇を取りたいと申し出ても「忙しいから無理だ」と断られ続けていたのです。
このままでは体が持たないと思い、外国人技能実習機構に相談することを決意しました。

| 出身国 | ベトナム |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 自動車運送業(技能実習) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和3年) |
まつむら月100時間を超える時間外労働は、労働基準法に違反する可能性が高いです。また、年次有給休暇が10日以上付与される労働者には、会社は年5日以上の有給休暇を取得させる義務があります。外国人技能実習機構への相談は正しい判断でした。
過酷な長時間労働が始まるまでの経緯
入社当初から感じていた労働時間への違和感
私が運送会社で働き始めたのは2年前のことです。
最初の数か月は研修期間ということで、比較的穏やかな勤務でした。
しかし研修が終わると、朝6時から夜10時過ぎまで働くことが当たり前になっていきました。
先輩の日本人社員も同じように長時間働いていたので、最初は「日本ではこれが普通なのかもしれない」と思っていました。
休憩時間も十分に取れず、昼食を5分で済ませることもありました。
体の疲れが蓄積していくのを感じながらも、仕事を失うことが怖くて何も言えませんでした。



労働基準法では、原則として1日8時間、週40時間を超える労働には36協定の締結が必要です。また、36協定を締結していても、時間外労働には上限があります。月100時間を超える残業は、特別な事情がない限り違法となります。
有給休暇を取れない状況と限界
働き始めて6か月が経ち、有給休暇が付与されるようになりました。
母国の家族に会いたくて、有給休暇を使って一時帰国したいと上司に相談しました。
しかし「今は繁忙期だから」「人手が足りないから」と、何度申請しても却下されました。
繁忙期が終わっても、次の繁忙期が来るという理由で認められません。
結局、1年間で1日も有給休暇を取ることができませんでした。
同僚の技能実習生に相談すると、「みんな同じだよ」と言われましたが、これは本当に正しいことなのか疑問に思うようになりました。
ある日、体調不良で倒れそうになり、このままでは危険だと感じて外国人技能実習機構に通報することを決めました。



2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、会社は年5日以上の有給休暇を時季を指定して取得させることが義務化されました。これに違反した場合、会社には罰則が科される可能性があります。
通報後に分かった会社の違法行為
外国人技能実習機構に相談した後、労働基準監督署による立入調査が行われました。
調査の結果、私が働いていた会社には複数の労働基準法違反があることが判明しました。
まず、有効な36協定が締結されていないまま、違法な時間外労働が行われていました。
また、年次有給休暇の取得義務についても完全に無視されていたのです。
自分が感じていた違和感は正しかったのだと、この時初めて確信しました。



36協定(さぶろくきょうてい)とは、法定労働時間を超えて働かせる場合に、会社と労働者の代表が結ぶ協定のことです。この協定がない状態で時間外労働をさせることは、労働基準法第32条違反となります。
調査で分かった私たちの権利
労働基準監督署の調査と指導を通じて、私たち労働者が持つ権利について詳しく知ることができました。
長時間労働からの保護
- 法定労働時間は1日8時間、週40時間が原則
- 時間外労働には36協定の締結が必要
- 月100時間を超える残業は原則違法


労働者は長時間労働から守られる権利を持っています。
会社が36協定を結ばずに残業させることは違法です。
また、36協定があっても無制限に働かせることはできません。
過重労働による健康障害を防ぐため、会社には労働時間を適切に管理する義務があるのです。



長時間労働は脳や心臓の病気を引き起こすリスクがあります。月80時間を超える残業が続くと「過労死ライン」と呼ばれ、健康被害との関連性が高くなります。会社には労働者の健康を守る義務があります。
有給休暇を取得する権利
- 年10日以上付与される労働者には年5日の取得義務がある
- 有給休暇は労働者の権利であり、会社は拒否できない
- 取得させなかった場合、会社に罰則が科される可能性がある
- 技能実習生も日本人と同じように有給休暇の権利がある
有給休暇は労働者に与えられた大切な権利です。
会社は「忙しいから」という理由だけで有給休暇の取得を拒否することはできません。
特に年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対しては、会社が時季を指定して年5日以上取得させる義務があります。
これは2019年4月から施行された法律で、違反した場合は罰則の対象となります。



有給休暇の取得義務に違反した場合、会社には労働者1人あたり30万円以下の罰金が科される可能性があります。技能実習生であっても、日本人労働者と同等の権利が保障されています。
会社の改善と私が学んだこと
労働基準監督署からの是正勧告を受けて、会社は様々な改善に取り組みました。
自分の労働時間を毎日記録する
まず、毎日の出勤時間と退勤時間、休憩時間を自分で記録してください。
スマートフォンのメモ機能やカレンダーアプリを使うと便利です。
会社のタイムカードと自分の記録が違う場合は、その差も記録しておきましょう。
証拠書類を保管する
給与明細、勤務表、雇用契約書など、労働条件に関する書類はすべて保管しておきます。
写真を撮ってスマートフォンに保存しておくと、紛失の心配がありません。
外国人技能実習機構に相談する
技能実習生であれば、外国人技能実習機構(OTIT)に相談することができます。
母国語での相談も可能で、秘密は守られます。
電話番号は0120-250-168(無料)で、多言語対応しています。
労働基準監督署に申告する
労働基準監督署は、労働者からの申告を受けて会社を調査することができます。
申告したことを理由に会社が労働者に不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。
近くの労働基準監督署の場所は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。
健康診断を受けて体調を確認する
長時間労働を続けていると、自分では気づかないうちに体調を崩していることがあります。
健康診断を受けて、現在の体の状態を確認しておきましょう。
弁護士や支援団体に相談する
問題が解決しない場合は、弁護士や外国人支援団体に相談することも検討してください。
法テラスでは、無料で法律相談を受けることができます。
多言語対応の窓口もあるので、日本語に不安がある方も安心して相談できます。



会社への相談や申告をためらう方も多いですが、労働者の権利を守ることは恥ずかしいことではありません。一人で悩まず、専門機関に相談することが解決への第一歩です。
まとめ:声を上げる勇気を持ってほしい
私と同じように、長時間労働や有給休暇が取れないことで苦しんでいる外国人労働者の方がいるかもしれません。
「外国人だから仕方ない」と諦めないでください。
- 月100時間を超える残業は違法であり、36協定がなければ時間外労働自体が違法
- 年10日以上の有給休暇が付与される労働者には、会社が年5日以上取得させる義務がある
- 外国人技能実習機構や労働基準監督署に相談・申告することができる
- 技能実習生も日本人労働者と同じ権利が保障されている


私は勇気を出して相談したことで、会社の労働環境は大きく改善されました。
今では元請会社との業務量の調整や、シフトの見直しが行われています。
有休取得奨励日も設定され、みんなが休みを取れるようになりました。
あなたの健康と権利を守るために、困ったときは専門機関に相談してください。
一人で悩まないでください。必ず助けてくれる人がいます。








