
防じんマスク未着用での作業を強要
私は仮設資材の整備工場で働く技能実習生です。
毎日、足場材などの金属をアーク溶接する作業をしていました。
溶接作業では、大量の粉じんが発生しますが、会社は私たちに防じんマスクを支給してくれませんでした。
労働基準監督署の調査が入り、会社は是正勧告を受けました。
ところが、会社は「もう溶接作業はしていない」と報告したにもかかわらず、実際にはマスクなしでの作業を続けさせていたのです。
この悪質な行為により、会社は送検されることになりました。

| 出身国 | フィリピン |
|---|---|
| 日本語能力 | N4程度 |
| 職種 | 建設(技能実習) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 生活支援・住環境の問題 |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和2年) |
まつむらアーク溶接作業では、金属ヒュームという有害な粉じんが発生します。労働安全衛生法では、このような作業に労働者を従事させる際、有効な呼吸用保護具(防じんマスク)を使用させることが義務付けられています。違反した場合、刑事罰の対象となります。
防じんマスクなしでのアーク溶接作業
毎日吸い込んでいた有害な粉じん
私の仕事は、建設現場で使われた足場材の修理でした。
傷んだ部分を半自動アーク溶接機で溶接して修復します。
溶接作業をすると、金属が高温で溶けて、白い煙のような粉じんが大量に発生します。
これは「金属ヒューム」と呼ばれる有害な物質です。
吸い込むと、肺に悪影響を及ぼす可能性があります。
私は、最初から防じんマスクが必要だと思っていました。
しかし、会社からは普通の布マスクしか支給されませんでした。
上司に「防じんマスクが欲しい」と言っても、「そんなものは必要ない。みんな同じマスクで作業している」と言われました。
毎日、粉じんを吸い込みながら作業を続けていました。



金属をアーク溶接する作業では、金属ヒュームという非常に細かい粉じんが発生します。この粉じんは肺の奥まで到達し、じん肺などの職業病を引き起こす可能性があります。そのため、粉じん障害防止規則で、有効な呼吸用保護具の使用が義務付けられています。
労働基準監督署の最初の調査と是正勧告
ある日、労働基準監督署の調査が入りました。
調査員は工場内を見て回り、私たちが溶接作業をしているのを見ました。
そして、私たちが防じんマスクを着用していないことに気づきました。
調査員は会社に対して、「金属をアーク溶接する作業では、有効な呼吸用保護具(防じんマスク)を使用させなければならない」と説明しました。
これは、労働安全衛生法第22条と粉じん障害防止規則第27条に基づく義務です。
会社は是正勧告を受け、改善報告書を提出することになりました。



労働安全衛生法第22条では、事業者は労働者の健康障害を防止するための措置を講じなければならないと定めています。粉じん障害防止規則第27条第1項では、粉じん作業に労働者を従事させる際、有効な呼吸用保護具を使用させることが義務付けられています。
会社が虚偽報告をして作業を続けさせた
是正勧告を受けた後、会社は改善報告書を提出しました。
ところが、その内容は嘘でした。
「溶接作業はしていない」という虚偽の報告
会社は労働基準監督署に対して、「もうアーク溶接作業は行われていない」と報告しました。
つまり、溶接作業をやめたので、防じんマスクは不要になったという説明です。
しかし、これは完全な嘘でした。
私たちは、是正勧告を受けた後も、毎日同じように溶接作業を続けていました。
防じんマスクも支給されず、以前と全く同じ状況でした。
会社は、労働基準監督署に嘘の報告をして、問題を隠そうとしたのです。



労働基準監督署の是正勧告に対して、虚偽の改善報告をすることは非常に悪質な行為です。このような場合、労働基準監督署は再調査を行い、違反が継続していることが確認されると、刑事告発(送検)を行います。
再調査で発覚した違反の継続
労働基準監督署は、会社の報告を疑い、再度調査に来ました。
そして、私たちが依然として防じんマスクなしで溶接作業をしていることを確認しました。
調査員は、「是正勧告を受けたにもかかわらず、改善されていない。しかも虚偽の報告をしている」と厳しく指摘しました。
会社の上司は、言い訳をしようとしましたが、現場の状況が全てを物語っていました。
私たちの目の前には、使用中の溶接機と、粉じんで汚れた作業台がありました。
そして、私たちは誰も防じんマスクを着用していませんでした。
- 是正勧告を受けても改善しなかった
- 虚偽の改善報告書を提出した
- 労働者の健康を軽視した
- 監督署の調査を妨害しようとした





是正勧告を受けた後も違反を続け、さらに虚偽報告をした場合、労働基準監督署は悪質性が高いと判断します。このような場合、行政指導だけでは改善が期待できないため、刑事告発を行い、司法の判断を仰ぐことになります。
会社が送検された理由と被疑事実
労働基準監督署は、会社を送検することを決定しました。
労働安全衛生法違反で刑事告発
- 労働安全衛生法第22条第1号違反(事業者の講ずべき措置等)
- 粉じん障害防止規則第27条第1項違反(呼吸用保護具の使用義務)
- 金属をアーク溶接する作業に労働者を従事させる際、有効な呼吸用保護具を使用させなかった
送検されたのは、実習実施者である会社(法人)と、法人の役員です。
被疑事実は、金属をアーク溶接する作業に労働者を従事させる際に、有効な呼吸用保護具(防じんマスク)を使用させなかったことです。
これは、労働安全衛生法第22条第1号と、粉じん障害防止規則第27条第1項に違反します。
特に悪質だったのは、是正勧告を受けた後も改善せず、虚偽の報告をして違反を継続したことです。



労働安全衛生法第22条違反や粉じん障害防止規則違反の罰則は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金です。法人も罰金刑の対象となります。是正勧告後も違反を継続した場合、より重い処罰が科される可能性があります。
労働者の健康より利益を優先した会社
後で分かったことですが、会社が防じんマスクを支給しなかった理由は、コスト削減でした。
有効な防じんマスクは、1個あたり数千円かかります。
また、定期的に交換する必要があるため、継続的なコストがかかります。
会社は、このコストを惜しんで、私たちの健康を犠牲にしたのです。
労働基準監督署の担当者は、「労働者の健康と安全は、何よりも優先されるべきです。
コスト削減を理由に、法律で義務付けられた安全措置を怠ることは許されません」と厳しく指摘しました。



労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保するための法律です。会社の経営状況やコストは、法律違反の言い訳にはなりません。労働者の生命と健康は、何よりも優先されるべきものです。
同じような危険な作業をしている技能実習生へ
溶接作業や、粉じんが発生する作業をしている技能実習生の皆さん、あなたの会社は適切な保護具を支給していますか?
防じんマスクが必要な作業とは
防じんマスクが必要な作業の例
- 金属の溶接・溶断
- アーク溶接
- ガス溶接
- 研磨・切断
- グラインダー作業
- 金属の切断作業
- その他
- コンクリートの破砕
- 塗装作業(一部)
金属の溶接や研磨、コンクリートの破砕など、粉じんが発生する作業では、防じんマスクの着用が法律で義務付けられています。
普通の布マスクや不織布マスクでは、細かい粉じんを防ぐことはできません。
必ず、国家検定に合格した防じんマスクを使用する必要があります。
会社が保護具を支給しない場合の対処法
もし、会社が適切な保護具を支給してくれない場合、以下の対処法があります。
- まず会社に支給を求める(書面で記録を残す)
- 労働基準監督署に相談する
- 技能実習機構に相談する
- 保護具なしでの作業を拒否する(労働者の権利)
労働安全衛生法では、労働者は危険な作業を拒否する権利があります。
適切な保護具が支給されない状態での作業は、あなたの健康を危険にさらします。
作業を拒否することは、決して悪いことではありません。



労働者には、危険な作業環境で働くことを拒否する権利があります。適切な保護具が支給されない場合、作業を拒否しても、それを理由に解雇や不利益な取り扱いを受けることはありません。自分の健康と安全を最優先に考えてください。
問題解決のための具体的な行動ステップ
粉じんが発生する作業で、適切な保護具が支給されていない場合、以下のステップで行動してください。
作業内容を確認する
自分がどのような作業をしているか、どのような保護具を使用しているか確認しましょう。
粉じんが発生する作業では、防じんマスクが必要です。
会社に保護具を求める
上司や安全衛生担当者に、適切な防じんマスクの支給を求めましょう。
できれば、書面やメールで記録を残してください。
労働基準監督署に相談する
会社が保護具を支給しない場合、労働基準監督署に相談しましょう。
匿名でも相談できます。
技能実習機構に相談する
技能実習生の場合、外国人技能実習機構にも相談できます。
母国語での相談も可能です。
健康診断を受ける
粉じん作業に従事している労働者は、定期的に健康診断を受ける権利があります。
会社に健康診断の実施を求めてください。
改善されない場合は作業を拒否する
適切な保護具が支給されず、健康に危険がある場合、作業を拒否する権利があります。
自分の健康を守ることが最優先です。
まとめと読者へのメッセージ
私は、この経験を通じて、自分の健康と安全は自分で守らなければならないことを学びました。
- 粉じん作業では防じんマスクの着用が法律で義務付けられている
- 会社が保護具を支給しないことは違法
- 是正勧告後も改善しない場合は送検される
- 労働者は危険な作業を拒否する権利がある


技能実習生の皆さん、危険な作業で適切な保護具が支給されていない場合、それは違法です。
会社に遠慮する必要はありません。
労働基準監督署や技能実習機構に相談してください。
あなたの健康と命は、何よりも大切です。
自分の身は自分で守る勇気を持ってください。








