
機械に巻き込まれそうに…安全措置を改善
私は機械器具を製造する工場で働いていた技能実習生です。
在留資格は「技能実習2号」で、金属加工の技術を学んでいました。
毎日、ベルトサンダーという金属を研磨する機械を使って作業していました。
ある時、その機械のローラー部分に手袋が巻き込まれそうになって、とても怖い思いをしました。
幸い大きなケガはしませんでしたが、この出来事がきっかけで労働基準監督署の調査が入りました。
その結果、工場の機械や設備に多くの問題があることが分かったのです。

| 出身国 | フィリピン |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 工業製品製造業(技能実習) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 生活支援・住環境の問題 |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和2年) |
まつむら機械による労働災害は、製造業で多く発生しています。労働者に危険を及ぼすおそれのある機械の箇所には覆い等を設けること、クレーン等の設備には定期的な点検を実施することが法律で義務付けられています。今回のケースから、職場の安全設備について確認していきましょう。
機械の危険に気づくまでの経緯
ベルトサンダーでの危険な体験
私が毎日使っていたベルトサンダーは、金属を研磨するための機械です。
回転するローラーにベルトが巻かれていて、そこに金属を当てて表面を削ります。
ある日、作業中に手袋の端がローラーに近づきすぎてしまいました。
あと少しで巻き込まれるところでした。
すぐに手を引いたので大事には至りませんでしたが、心臓がバクバクしました。
後で見ると、ローラーの部分には覆いがなく、むき出しの状態でした。



労働安全衛生規則第101条では、機械の回転軸、歯車、ベルト等で労働者に危険を及ぼすおそれのある部分には、覆い、囲い、スリーブ等を設けなければならないと定められています。これは労働災害を防止するための基本的な安全措置です。
労働基準監督署の調査で発覚した複数の問題
私の報告を受けて、会社に労働基準監督署が立入調査を行いました。
調査の結果、ベルトサンダーのローラー部分に覆いがないことだけでなく、他にも多くの問題が見つかりました。
天井クレーンの定期点検が実施されていませんでした。
また、玉掛け用の繊維ベルトにも著しい損傷が認められました。
これらはすべて、労働災害につながる危険な状態でした。



クレーン等安全規則では、天井クレーンについて年1回の年次点検と月1回の月次点検を実施することが義務付けられています(同規則第34条・第35条)。点検を怠ると、クレーンの故障や事故につながる危険があります。
労働基準監督署からの指導と命令
調査の結果、会社は労働基準監督署から複数の指導と命令を受けました。
まず、ベルトサンダーのローラー部分に覆いを設けるよう使用停止命令が出されました。
これは単なる勧告ではなく、覆いを設置するまでその機械を使ってはいけないという厳しい命令です。
次に、天井クレーンの年次点検と月次点検を実施するよう是正勧告されました。
さらに、損傷している繊維ベルトを使用しないことも是正勧告されました。



使用停止命令(労働安全衛生法第98条第1項)は、是正勧告よりも厳しい行政処分です。命令に従わない場合は、罰則が科せられます。労働者の安全に関わる重大な問題がある場合に発令されます。
調査で分かった機械の安全管理ルール
この経験を通じて、私は機械の安全管理について多くのことを学びました。
発見①:危険な箇所には覆いが必要
- 回転するローラーや軸
- 歯車やベルトの動く部分
- 刃物や切断部分


機械の危険な部分には、覆いや囲いを設けることが法律で義務付けられています。
指導を受けた後、会社はベルトサンダーのローラー部分に覆いを設置しました。
今は安心して作業ができるようになりました。



機械の危険な部分に覆いがない場合、労働者は巻き込まれや挟まれなどの重大な災害に遭うリスクがあります。覆いの設置は事業者の義務であり、これを怠ることは労働安全衛生法違反となります。
発見②:クレーン等の設備には定期点検が必要
クレーンに必要な点検
- 年次点検(1年に1回)
- 構造部分、機械装置、電気系統等の総合的な点検
- 月次点検(1か月に1回)
- ブレーキ、クラッチ、ワイヤーロープ等の点検
- 作業開始前点検
- 各装置の機能の確認
天井クレーンには、年に1回の年次点検と、月に1回の月次点検が義務付けられています。
私の工場ではこれらの点検が行われていませんでした。
是正勧告を受けた後、会社は点検を実施し、点検記録を残すようになりました。
- 繊維ベルトに損傷や摩耗がないか確認する
- 損傷のある用具は直ちに使用を中止する
- 定期的に点検し、不良品は新品に交換する
- 使用前に目視で状態を確認する習慣をつける
また、玉掛け用の繊維ベルトに損傷がある場合は、使用してはいけないことも学びました。
損傷したベルトは新品に交換されました。



クレーン等安全規則第218条では、ストランドが切れているもの、著しく変形・損傷しているものなど、不適格な玉掛け用具の使用を禁止しています。損傷した用具は荷が落下する原因となり、重大な災害につながります。
機械の危険から身を守るための行動計画
私の経験から、技能実習生の皆さんに伝えたいことがあります。
使う機械の危険箇所を確認する
自分が使う機械のどこに危険があるか、最初に確認しておきましょう。
回転する部分、動く部分、刃がある部分は特に注意が必要です。
分からない場合は、先輩や上司に聞いてください。
覆いや安全装置を確認する
危険な部分に覆いや囲いがついているか確認してください。
非常停止ボタンがどこにあるかも必ず覚えておきましょう。
覆いがない、または壊れている場合は作業前に報告してください。
危険を感じたら必ず報告する
「危ない」と思ったら、すぐに上司に報告しましょう。
報告することは悪いことではありません。
私が報告したことで、工場全体の安全が改善されました。
あなたの報告が、仲間の命を守ることにつながります。
玉掛け用具の状態を確認する
クレーンで荷物を吊るときに使うワイヤーやベルトの状態を確認してください。
傷んでいたり、切れかかっていたりするものは使ってはいけません。
損傷を見つけたら、すぐに報告して交換してもらいましょう。
安全教育をしっかり受ける
会社で行われる安全教育は、真剣に参加してください。
日本語が難しい場合は、母国語での説明を求めることもできます。
分からないことは必ず質問して、理解してから作業を始めましょう。



機械の安全は、会社の責任ですが、労働者自身も危険を認識することが大切です。「何かおかしい」と感じたら、その感覚を大事にして報告してください。早期の発見と対応が、重大な事故を防ぎます。
まとめ:同じ悩みを持つ外国人労働者に伝えたいこと
私は機械に巻き込まれそうになって、本当に怖い思いをしました。
でも、その経験を報告したことで、工場の安全対策が大きく改善されました。
- 機械の危険な部分には覆いを設けることが法律で義務付けられている
- クレーン等には年次・月次の定期点検が必要
- 損傷した玉掛け用具は使用禁止
- 危険を感じたら報告することが自分と仲間を守る


今は安全な環境で働くことができています。
危険を感じたら、我慢しないで声を上げてください。
あなたの行動が、自分だけでなく一緒に働く仲間の命も守ることにつながります。
安全に働くことは、すべての労働者の権利です。
私の経験が、誰かの役に立てば嬉しいです。








