
契約更新拒否と給料未払い!外国人労働者の雇止めと休業手当請求
私は日本の会社でパートタイムとして働いている外国人です。
1年契約で働き始めて、これまで3回契約を更新してきました。
面接のたびに上司から「あなたは仕事がよくできます。これからもこの会社で働いてください」と言われていたので、ずっと働き続けられると思っていました。
ところが、契約期限の1か月前に突然「また連絡するまで家で待っていてください」と言われました。
会社の指示通り自宅で待機していたのですが、その後「もう契約更新はしません。自宅待機中の給料も払いません」と一方的に告げられたのです。
真面目に働いてきたのに、なぜこんな扱いを受けなければならないのでしょうか。

| 出身国 | – |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 飲食料品製造業(特定技能) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 言語・文化の違いによるトラブル |
| 参照元 | 法テラス – 「会社が「あなたとの契約をやめます。」と言っています。また、会社に「家にいてください。」と言われて仕事を休んでいたのに、その間あいだの給料をもらえません。」 |
まつむら有期労働契約の「雇止め」には厳格なルールがあります。何度も契約更新していた場合や、会社が継続雇用を期待させていた場合は、合理的な理由なく契約を終了できません。また、会社都合の自宅待機なら休業手当(給料の60%以上)を請求できる可能性があります。諦めずに法的手段を検討しましょう。
突然の契約打ち切りと自宅待機命令までの経緯
3回の契約更新と上司からの継続雇用の約束
私は日本に来て4年目になります。
最初は技能実習生として来日し、その後特定技能に切り替えて、食品製造会社でパートタイムとして働いていました。
契約は1年ごとの更新で、週3日、1日6時間の勤務でした。
仕事内容は食品の包装や検査で、日本語がまだ完璧ではない私にもできる仕事でした。
契約更新の面接では、毎回上司から「真面目に働いてくれてありがとう。これからもよろしくお願いします」と言われていました。
同じ職場の日本人パートさんも、みんな何年も働いているベテランばかりでした。
だから私も、問題なく働き続けられると信じていたのです。



有期労働契約を何度も更新している場合、実質的には無期契約と同じような状態になっていることがあります。特に、会社が「これからも働いてほしい」と継続雇用を期待させる発言をしていた場合、簡単に雇止めすることはできません。
契約期限1か月前の突然の自宅待機命令
4回目の契約期限が近づいていた頃のことです。
いつものように仕事をしていると、上司に呼ばれて事務所に行きました。
上司は少し困った顔をして、「会社の経営が少し厳しくなっている。しばらく家で待機していてほしい。また連絡する」と言いました。
「いつまで待てばいいですか」と聞くと、「わからない。とりあえず連絡を待ってほしい」とだけ言われました。
給料のことを聞くと、「休んでいる間は仕事をしていないから、給料は出ない」と言われました。
でも会社の指示だから、仕方ないと思って家で待つことにしました。
その日から、毎日家で連絡を待ちました。
1週間、2週間と過ぎても、会社から何の連絡もありません。
生活費も心配になってきたので、こちらから会社に電話をしました。
すると、「あなたとの契約は更新しないことに決まりました。待機期間中の給料も払えません」と一方的に告げられたのです。



会社の都合で労働者を休ませた場合、原則として「休業手当」として平均賃金の60%以上を支払う義務があります。会社の経営難だけでは、この義務を免れることはできません。地震や台風などの不可抗力でない限り、会社は休業手当を支払わなければなりません。
友人からのアドバイスで知った自分の権利
どうしていいかわからず、同じ国から来ている友人に相談しました。
友人は日本で長く働いていて、前に労働問題で弁護士に相談したことがあるそうです。
友人は「それは会社が悪い。あなたには権利がある」と言って、法テラスに一緒に行ってくれました。
そこで初めて、「雇止め」という言葉と、「休業手当」という権利を知りました。
雇止めが許されないケースがある
- 何度も契約更新していて、実質的に無期契約と同じような状態になっている
- 労働者が契約更新されると期待する合理的な理由がある


法テラスの相談員さんは、労働契約法19条について説明してくれました。
この法律によると、一定の条件を満たす場合、会社は合理的な理由なく雇止めできないそうです。
私の場合、以下の点が重要だと言われました。
- 契約更新の回数(私の場合は3回)
- 通算の雇用期間(私の場合は約4年)
- 仕事の内容が臨時的か継続的か(包装・検査は継続的な業務)
- 更新手続きの実態(形式的だったか)
- 会社が継続雇用を期待させる言動をしていたか(上司の発言)
相談員さんは、「更新回数は3回でそれほど多くないが、毎回『これからも働いてほしい』と言われていた点は重要」と教えてくれました。
また、同じ職場で他のパートさんが何年も働き続けている実態も、雇止めの合理性を判断する材料になるそうです。



労働契約法19条により、雇止めが制限される場合、会社は「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」の両方を証明しなければなりません。単に「経営が厳しい」というだけでは不十分で、人員削減の必要性や人選の合理性なども求められます。
自宅待機中の給料は休業手当として請求できる
休業手当が支払われる条件と支払われない条件
- 支払われる場合
- 会社の経営難や資金繰りの悪化
- 会社の判断による生産調整
- 会社の設備故障(適切な保守を怠った場合)
- 支払われない場合
- 地震や津波などの天災地変
- 火災などの不可抗力
- 政府の緊急命令による操業停止
労働基準法26条では、「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならないと定められています。
「使用者の責に帰すべき事由」とは、簡単に言えば「会社の都合」ということです。
私の場合、会社が「経営が厳しい」という理由で自宅待機を命じました。
これは明らかに会社の都合であり、地震や台風のような不可抗力ではありません。
したがって、自宅待機していた期間の給料の60%以上を休業手当として請求できるはずです。
相談員さんは、「パートタイムやアルバイトでも、この権利は変わりません。外国人だからといって権利が制限されることもありません」と力強く言ってくれました。



休業手当の計算は、休業直前3か月の賃金総額を、その期間の総日数で割った「平均賃金」を基準にします。パートタイムの場合、実際の勤務日数ではなく暦日数で計算するため、思ったより多くもらえる可能性があります。
労働基準監督署への相談で分かった具体的な対処法
法テラスの相談員さんのアドバイスで、次に労働基準監督署に行きました。
監督署の担当者は、私の話を詳しく聞いてくれました。
雇止めを争うために必要な証拠と手続き
- これまでの労働契約書(全ての更新分)
- 給与明細(雇用期間全体)
- タイムカードや出勤記録
- 契約更新時の面接内容のメモ
- 上司とのやり取りの記録(メール、LINE、メモ)
- 同僚の証言(可能であれば)


担当者から最も重要だと言われたのは、「契約更新を希望する」という意思を会社に明確に伝えることでした。
労働契約法19条に基づいて雇止めを争う場合、労働者側から「契約更新を希望します」と申し出る必要があります。
これをしないと、後から「本人も更新を希望していなかった」と会社に主張される可能性があるそうです。
担当者は、「できれば内容証明郵便で送った方がいい。記録が残るから」とアドバイスしてくれました。
内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に、どんな内容の手紙を送ったかを郵便局が証明してくれる制度です。



契約更新の申し入れは、できるだけ早く行うことが重要です。雇止め通告を受けてから時間が経ちすぎると、「黙示の同意」とみなされる可能性があります。通告後すぐに書面で更新希望の意思を示しましょう。
休業手当の請求方法と計算方法
- 直前3か月の賃金総額:180,000円
- その期間の総日数:92日
- 平均賃金:180,000円÷92日=約1,957円
- 休業手当(60%):1,957円×0.6=約1,174円/日
- 14日間待機した場合:1,174円×14日=16,436円
休業手当の請求は、まず会社に対して書面で行います。
担当者が教えてくれた手順は以下の通りです。
- 自宅待機を命じられた日と期間を確認する
- 直前3か月の給与明細から平均賃金を計算する
- 休業日数×平均賃金×60%で休業手当の額を算出する
- 会社に対して書面で支払いを請求する
- 会社が応じない場合は、労働基準監督署に申告する
私の場合、自宅待機は約2週間(14日)でした。
計算すると、約16,000円の休業手当を請求できることが分かりました。
金額は大きくないかもしれませんが、これは私の権利です。



休業手当の請求権は2年で時効になります。また、労働基準監督署への申告は、労働基準法違反を是正してもらうための手段であり、直接お金を取り戻す手続きではありません。確実に回収したい場合は、労働審判や少額訴訟も検討しましょう。
在留資格への影響と取るべき対応策
雇止めの問題と同時に、私が心配していたのは在留資格のことです。
私は特定技能1号の在留資格で働いています。
会社を辞めることになったら、日本にいられなくなるのではないか。
そんな不安で夜も眠れませんでした。
法テラスで在留資格に詳しい行政書士を紹介してもらい、相談しました。
- 離職後14日以内に出入国在留管理局に「契約終了の届出」が必要
- 新しい受入れ機関が決まったら「受入れ機関の変更届」を提出
- 会社都合の離職の場合、特定活動への変更で最大6か月の就職活動期間を確保できる可能性あり
- 自己都合の離職でも、在留期間内であれば転職活動は可能
行政書士の先生から教わったのは、特定技能の在留資格は転職が認められているということです。
ただし、離職してから新しい会社に入るまでの間、手続きが必要です。
まず、会社を辞めたら14日以内に出入国在留管理局に「契約終了の届出」を提出しなければなりません。
これを忘れると、在留資格の取消事由になる可能性があります。
次に、新しい受入れ機関(会社)が決まったら、「受入れ機関に関する届出」を提出します。
そして重要なのが、会社都合で離職した場合、就職活動のための「特定活動」(最大6か月)への在留資格変更を申請できる可能性があるということです。
これは、雇止めが不当だと認められた場合に特に有効です。
私の場合、もし雇止めを争って勝てば、この制度を使える可能性が高いそうです。



特定活動への変更申請には、ハローワークへの求職登録や、離職理由を証明する書類が必要です。雇止めを争う場合は、労働審判の申立書や弁護士からの意見書なども有効な証拠になります。早めに専門家に相談しましょう。
私が今すぐ行動すべき6つのステップ
専門家のアドバイスを受けて、私が今やるべきことが明確になりました。
契約更新希望の意思を内容証明で通知
まず最初に、会社に対して「労働契約の更新を希望します」という意思を明確に伝える必要があります。
これは電話ではなく、必ず書面で行います。
できれば内容証明郵便を使って、いつ、誰が、誰に、どんな内容を送ったかの記録を残します。
文面には、「○月○日付けで雇止めの通告を受けましたが、労働契約法19条に基づき契約更新を希望します」といった内容を記載します。
日本語が不安な場合は、法テラスや外国人支援団体に文面作成を手伝ってもらいましょう。
証拠書類を整理して保管する
これまでの労働契約書(全ての更新分)、給与明細、タイムカード、出勤記録などを全て集めます。
また、契約更新時の面接で上司が言ったこと、自宅待機を命じられた時の状況などを、できるだけ詳しくメモに残します。
もし上司とのやり取りがメールやLINEに残っていれば、スクリーンショットを取って保存しておきます。
同じ職場で働いている同僚や、以前働いていた人で、状況を知っている人がいれば、証言をお願いできるか確認しておくとよいでしょう。
休業手当の支払いを書面で請求する
会社に対して、自宅待機期間中の休業手当を請求します。
これも必ず書面で行い、以下の内容を記載します。
- 自宅待機を命じられた日付と期間
- 休業日数の計算
- 平均賃金の計算方法
- 請求する休業手当の金額(平均賃金×60%×休業日数)
- 支払期限
会社が支払いに応じない場合は、労働基準監督署に申告することも検討します。
弁護士に相談して労働審判を検討する
会社が契約更新に応じない場合、労働審判の申立てを検討します。
労働審判は、通常の裁判より早く(通常3回以内)、費用も比較的安く問題を解決できる制度です。
法テラスの民事法律扶助制度を利用できれば、弁護士費用の立替や減免が受けられる可能性があります。
外国人の場合、一定の在留資格と収入・資産要件を満たせば、この制度を利用できます。
弁護士に相談する際は、集めた証拠を全て持参し、これまでの経緯を時系列で説明できるように準備しておきましょう。
契約終了の届出を提出する
特定活動への在留資格変更を検討する
会社都合での離職が認められた場合、就職活動のための「特定活動」(最大6か月)への在留資格変更を申請できる可能性があります。
申請には、ハローワークへの求職登録証明書、離職理由を証明する書類(離職票、会社都合を証明する文書など)が必要です。
雇止めを争っている場合は、労働審判の申立書や弁護士の意見書なども有効な証拠になります。
在留資格の変更申請は複雑なため、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。



雇止めの争いと休業手当の請求、そして在留資格の問題を同時に進めるのは大変です。優先順位をつけて、まずは契約更新の意思表示と証拠の保全から始めましょう。専門家のサポートを受けながら、一つずつ確実に進めていくことが重要です。
まとめ:同じ悩みを持つ外国人労働者へのメッセージ
私と同じように、不当な雇止めや休業手当の未払いで悩んでいる外国人労働者の方がいるかもしれません。
一人で抱え込まないでください。
- 何度も契約更新している場合、労働契約法19条により雇止めが制限される
- 会社都合の自宅待機なら平均賃金の60%以上の休業手当を請求できる
- 雇止めを争うには契約更新希望の意思を書面で明確に伝える必要がある
- 会社都合離職なら特定活動への変更で最大6か月の就職活動期間を確保できる可能性がある


私はこれから、専門家の力を借りて、自分の権利を守るために行動します。
外国人労働者にも日本人と同じ労働者としての権利があります。
言葉の壁があっても、法テラスや外国人支援団体、労働基準監督署など、助けてくれる場所はたくさんあります。
会社から不当な扱いを受けたら、一人で悩まずに相談してください。
私たちには、正当な権利を主張する勇気が必要です。
そして、その権利を守ってくれる法律と制度が日本にはあるのです。












