
給料から引きすぎ?不当な賃金控除を是正
私は縫製工場で働いていた技能実習生です。
在留資格は「技能実習2号」で、日本に来て2年が経っていました。
毎月の給料を受け取るたびに、なぜこんなに手取りが少ないのか疑問に思っていました。
給料明細を見ると、水道光熱費や社会保険料が引かれていましたが、金額が正しいのか分かりませんでした。
ある日、外国人技能実習機構から会社に調査が入りました。
その結果、私たちの給料から法律で認められている以上の金額が引かれていたことが分かったのです。

| 出身国 | 中国 |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 工業製品製造業(技能実習) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 生活支援・住環境の問題 |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和2年) |
まつむら賃金から控除できる項目は法律で厳格に定められています。水道光熱費や社会保険料を実際の金額以上に控除することは、労働基準法第24条違反となります。また、年次有給休暇管理簿の作成も義務付けられており、これらの労働条件を適正に管理することは事業者の責任です。
賃金控除の問題が発覚するまでの経緯
毎月の給料に感じていた違和感
私は縫製の技術を学ぶために日本に来ました。
会社が用意した寮に住み、毎日工場で働いていました。
給料日に給料明細をもらうと、いつも手取りが思ったより少なかったです。
水道光熱費として毎月かなりの金額が引かれていましたが、実際にそんなに使っているのか疑問でした。
社会保険料も引かれていましたが、金額が妥当なのか分かりませんでした。
日本語の説明を理解するのが難しく、そのままにしていました。



賃金から控除できるのは、法令で定められた税金や社会保険料、労使協定に基づく寮費・食費等に限られます。控除額は実費を超えてはならず、不当な控除は「賃金の全額払い」原則(労働基準法第24条第1項)に違反します。
外国人技能実習機構の調査で判明した問題
ある日、外国人技能実習機構から会社に通報があったと聞きました。
賃金控除の方法に問題があるとの情報が寄せられたそうです。
その後、労働基準監督署が会社に立入調査を行いました。
調査の結果、一部の労働時間が計上されておらず、水道光熱費と社会保険料が法定以上に控除されていたことが分かりました。
また、年次有給休暇管理簿が作成されていないことも指摘されました。



外国人技能実習機構(OTIT)は、技能実習生の保護を目的とした組織です。技能実習生からの相談を受け付けており、問題がある事業場への調査を行うきっかけにもなります。母国語での相談窓口もあります。
労働基準監督署からの是正勧告
調査の結果、会社は労働基準監督署から複数の是正勧告を受けました。
まず、労働時間に計上されていない分の賃金を支払うことを勧告されました。
次に、法律で認められている以上の金額を控除してはならないことを指導されました。
さらに、年次有給休暇管理簿を作成し、有給休暇の取得日数等を記録するよう求められました。



年次有給休暇管理簿は、労働基準法施行規則第24条の7で作成が義務付けられています。付与日、取得日数、基準日等を記録し、3年間保存しなければなりません。技能実習生も日本人労働者と同様に有給休暇の権利があります。
調査で分かった賃金控除のルール
この経験を通じて、私は賃金控除に関する日本のルールを学びました。
発見①:控除できる項目と金額には制限がある
- 法令で定められた税金(所得税、住民税)
- 社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険)は法定額のみ
- 労使協定で定めた寮費・食費等は実費相当額まで


賃金から控除できるのは、法律で認められた項目と金額に限られています。
水道光熱費を引く場合も、実際に使った金額を超えて控除することはできません。
社会保険料も、法律で決められた金額を超えて控除することは違法です。



社会保険料は、標準報酬月額に基づいて法定の料率で計算されます。会社と労働者が折半で負担するため、労働者負担分は決まった金額です。それ以上に控除することは明らかな違法行為です。
発見②:年次有給休暇は技能実習生にも権利がある
- 6か月継続勤務で10日の有給休暇が発生
- 出勤率8割以上が条件
- 会社は年5日の有給休暇を取得させる義務がある
- 年次有給休暇管理簿で記録を管理する必要がある
調査では、年次有給休暇管理簿が作成されていないことも問題として指摘されました。
技能実習生も日本人と同様に、年次有給休暇を取得する権利があります。
会社は有給休暇の取得日数等を管理簿に記録し、年5日は必ず取得させなければなりません。



2019年4月から、会社は労働者に年5日の有給休暇を確実に取得させることが義務化されました。これに違反した場合、30万円以下の罰金が科せられます。技能実習生も例外ではありません。
不当な賃金控除から身を守るための行動計画
私の経験を踏まえて、技能実習生の皆さんに伝えたいことがあります。
給料明細の控除項目を確認する
毎月の給料明細をもらったら、控除されている項目と金額を必ず確認してください。
何の名目でいくら引かれているのか、一つ一つ確認することが大切です。
分からない項目があれば、必ず説明を求めましょう。
水道光熱費の使用量を確認する
寮の水道光熱費が控除されている場合は、実際の使用量や請求書を見せてもらいましょう。
実際に使った金額以上に控除することは違法です。
複数人で寮に住んでいる場合は、人数で割った金額が妥当かどうか確認してください。
社会保険料の正しい金額を把握する
社会保険料は、給料の金額に応じて法律で決められています。
日本年金機構のホームページで、自分の給料に対する正しい保険料を確認できます。
控除されている金額が法定額と合っているか確認しましょう。
有給休暇の残日数を確認する
自分の有給休暇が何日あるのか、何日使ったのかを確認してください。
会社は年次有給休暇管理簿を作成する義務があります。
管理簿を見せてもらい、記録が正しいか確認しましょう。
監理団体に質問する
給料や控除について疑問があれば、監理団体に質問しましょう。
監理団体は技能実習生をサポートする役割があります。
分からないことは遠慮せずに聞いてください。



賃金控除の問題は、記録と証拠が重要です。給料明細は必ず保管し、不明な点はその都度確認する習慣をつけましょう。問題が大きくなる前に相談することが解決への近道です。
まとめ:同じ悩みを持つ外国人労働者に伝えたいこと
私は最初、給料の控除が正しいのかどうか分かりませんでした。
日本語が難しくて、聞くこともできませんでした。
- 賃金から控除できる項目と金額は法律で制限されている
- 水道光熱費や社会保険料を法定額以上に控除することは違法
- 技能実習生にも年次有給休暇の権利がある
- 外国人技能実習機構に母国語で相談できる


でも、調査のおかげで問題が明らかになり、正しい賃金が支払われるようになりました。
おかしいと思ったら、我慢しないで相談することが大切です。
私たち技能実習生にも、正当な賃金を受け取る権利があります。
同じ悩みを持つ人は、一人で抱え込まずに相談窓口を利用してください。
私の経験が、誰かの役に立てば嬉しいです。








