
残業代500円だけ?割増賃金の不払い発覚
私は衣服を作る工場で働いていた技能実習生です。
在留資格は「技能実習1号」で、日本に来たばかりの頃でした。
毎日一生懸命働いていましたが、給料明細を見て不思議に思うことがありました。
残業しても、もらえるお金が思ったより少なかったのです。
日本語があまり分からなかったので、最初は気にしませんでした。
しかし、同じ国の先輩に相談したところ、時間外労働の賃金が法律で決められた金額より少ないことが分かりました。

| 出身国 | ベトナム |
|---|---|
| 日本語能力 | N4程度 |
| 職種 | 工業製品製造業(技能実習) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和2年) |
まつむら時間外労働に対しては、法定の割増率(25%以上)で計算した割増賃金を支払う義務があります。入国後一定期間だからといって、低い賃金で済ませることは労働基準法違反です。今回のケースでは、技能実習生6名に対し総額約87万円の差額が支払われました。
給料の問題に気づくまでの経緯
最初は何も分からなかった入国直後
日本に来たばかりの私は、とにかく仕事を覚えることに必死でした。
衣服を縫う技術を身につけるため、毎日真剣に取り組んでいました。
忙しい時期には残業もありましたが、日本で技術を学べることが嬉しかったです。
給料日に給料明細をもらいましたが、日本語が難しくて内容がよく分かりませんでした。
「残業したのに、もらえるお金が少ないな」と思いましたが、日本のルールはこういうものなのかと思っていました。



日本語が十分でない外国人労働者は、給料明細の内容を理解できないことが多いです。しかし、労働基準法は国籍に関係なくすべての労働者に適用されます。入国直後であっても、時間外労働には法定の割増賃金を支払わなければなりません。
先輩に相談して判明した違法な賃金計算
3か月ほど経った頃、同じ国から来た先輩と話す機会がありました。
給料の話になり、残業代について聞いてみました。
先輩が私の給料明細を見てくれて、「これはおかしい」と言いました。
時間外労働に対して1時間500円しか払われていなかったのです。
先輩によると、法律では基本給の25%以上を上乗せした金額を払わなければならないとのことでした。
私だけでなく、他の技能実習生も同じ状況だと分かりました。



時間外労働(1日8時間または週40時間を超える労働)に対しては、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払う義務があります(労働基準法第37条第1項)。深夜労働(午後10時から午前5時)の場合はさらに25%以上の割増が必要です。
労働基準監督署の立入調査と是正勧告
監理団体に相談したところ、会社に労働基準監督署の立入調査が入りました。
調査の結果、入国後一定の期間は1時間当たり500円の賃金しか払っておらず、法定の割増率で計算した割増賃金を支払っていなかったことが確認されました。
会社は労働基準監督署から是正勧告を受けました。
法定の割増率(時間外労働は25%以上)で計算し、割増賃金を支払わなければならないことを指導されたのです。



是正勧告を受けた会社は、過去に遡って不足分の賃金を支払う必要があります。この事案では、会社が支払うべき額を再計算し、技能実習生6名に対して総額約87万円が追加で支払われました。
調査で分かった割増賃金のルール
この経験を通じて、私は日本の賃金に関するルールを学びました。
発見①:時間外労働には割増賃金が必要
割増賃金の種類と割増率
- 時間外労働(残業)
- 通常の賃金の25%以上の割増
- 深夜労働(22時~5時)
- 通常の賃金の25%以上の割増
- 休日労働
- 通常の賃金の35%以上の割増
日本では、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いた場合、割増賃金が支払われます。
これは国籍に関係なく、すべての労働者に適用されるルールです。
入国直後でも、試用期間中でも、この割増率は変わりません。



会社によっては「入国直後は見習い期間だから」などの理由で低い賃金を払うケースがありますが、これは違法です。労働基準法の割増賃金規定は、雇用形態や国籍、経験期間に関係なく適用されます。
発見②:過去の不足分も請求できる
- 給料明細やタイムカードの記録を保管しておく
- 未払い賃金は過去3年分まで請求可能
- 労働基準監督署に相談すれば調査してもらえる


今回の指導の結果、会社は過去の不足分を計算し直し、技能実習生6名に対して総額約87万円を支払いました。
すでに支払いが終わった過去の賃金でも、不足分があれば請求することができます。
未払い賃金の請求権は3年間有効です。



賃金の支払いに関する時効は、2020年4月以降に支払日が到来した賃金については3年間です。過去に遡って請求する場合は、給料明細や出勤記録などの証拠が重要になります。
給料に関する問題を解決するための行動計画
同じような経験をしている技能実習生のために、私が学んだことをお伝えします。
給料明細を確認して保管する
毎月の給料明細は、必ず確認して保管してください。
基本給、残業代、各種手当、控除額など、すべての項目を確認しましょう。
日本語が分からない場合は、先輩や監理団体に説明してもらいましょう。
働いた時間を自分で記録する
会社のタイムカードとは別に、自分でも働いた時間を記録しておきましょう。
スマートフォンのアプリやノートに、出勤時間、退勤時間、休憩時間を毎日書いておきます。
後で問題が起きたときの重要な証拠になります。
割増賃金の計算方法を理解する
自分の基本給から、1時間当たりの賃金を計算できるようになりましょう。
時間外労働の場合は、その金額に1.25を掛けた額が最低でも支払われるべき金額です。
給料明細の残業代と比べてみてください。
監理団体に相談する
給料に問題があると思ったら、まず監理団体に相談しましょう。
監理団体は技能実習生をサポートする役割があります。
給料明細と自分で記録した労働時間を見せて、説明を求めることができます。
外国人技能実習機構に相談する
労働基準監督署に申告する
それでも解決しない場合は、労働基準監督署に申告することができます。
労働基準監督署は、会社が法律を守っているかを調査する役所です。
匿名での相談も可能です。
申告したことを理由に会社が不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されています。



給料の問題は、証拠があれば解決できる可能性が高いです。日頃から記録を残し、おかしいと思ったら早めに相談することが大切です。
まとめ:同じ悩みを持つ外国人労働者に伝えたいこと
日本に来たばかりの頃は、言葉も分からず、日本のルールも分かりませんでした。
おかしいと思っても、我慢していました。
- 時間外労働には25%以上の割増賃金を支払う義務がある
- 入国直後や見習い期間でも割増率は変わらない
- 過去の未払い分も請求することができる
- 給料明細と労働時間の記録を保管しておくことが大切


でも、先輩に相談したおかげで、問題が解決しました。
私たち技能実習生にも、正しい給料をもらう権利があります。
もし給料がおかしいと思ったら、一人で悩まないでください。
周りの人に相談したり、相談窓口に連絡してください。
私の経験が、同じ悩みを持つ人の役に立てば嬉しいです。








