
フォークリフト接触事故で職場の安全改善へ
私は食品工場で箱詰め作業をしていた技能実習生です。
在留資格は「技能実習2号」で、日本に来て1年半が経っていました。
ある日、いつものように作業をしていたら、後ろから近づいてきたフォークリフトに接触してしまい、足を負傷しました。
病院に運ばれて治療を受けましたが、しばらく松葉杖での生活になりました。
後で分かったことですが、そのフォークリフトを運転していた人は、必要な資格を持っていなかったのです。
私の事故をきっかけに労働基準監督署が工場に来て、いろいろな問題が見つかりました。

| 出身国 | ベトナム |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 飲食料品製造業(技能実習) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 生活支援・住環境の問題 |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和2年) |
まつむらフォークリフトによる労働災害は、製造業や物流業で多く発生しています。1トン以上のフォークリフトを運転するには技能講習の修了が必要であり、無資格者による運転は法律違反です。また、作業者との接触防止措置も事業者の義務となっています。今回のケースから、職場の安全対策について確認していきましょう。
フォークリフト事故が起きるまでの経緯
危険な作業環境だった工場の実態
私が働いていた食品工場では、毎日たくさんの商品を箱詰めして出荷していました。
工場内ではフォークリフトが頻繁に行き来していましたが、作業者とフォークリフトの通路が明確に分けられていませんでした。
フォークリフトが近づいてくるときの合図もはっきりしていませんでした。
日本人の先輩たちは音や気配で気づけるようでしたが、私はまだ慣れていませんでした。
何度か「危ない」と思うことがありましたが、まさか本当に事故が起きるとは思っていませんでした。



労働安全衛生規則第151条の7では、フォークリフトの作業時に労働者との接触による危険がある箇所への立入禁止措置を義務付けています。通路の区分や警告装置の設置など、物理的な安全対策が必要です。
事故当日の状況と無資格運転の発覚
事故が起きたのは、午後の作業時間でした。
私は集中して箱詰め作業をしていて、周りの音に気づきませんでした。
突然、後ろから衝撃を受けて倒れました。
フォークリフトの一部が私の足にぶつかり、骨折してしまいました。
救急車で病院に運ばれ、そのまま入院することになりました。
後日、労働基準監督署の調査で、フォークリフトを運転していた人が必要な技能講習を修了していないことが分かりました。
会社は資格のない人にフォークリフトを運転させていたのです。



最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転するには、労働安全衛生法に基づく技能講習の修了が必要です。無資格者に運転させることは労働安全衛生法第61条違反であり、事業者には罰則が科せられます。
労働基準監督署の調査で判明した問題点
私の事故をきっかけに、労働基準監督署が工場に立入調査を行いました。
調査の結果、フォークリフトの接触防止措置が講じられていないこと、無資格者がフォークリフトを運転していたことが確認されました。
また、フォークリフトを誘導するときの合図が、私たち技能実習生には分かりにくいものだったことも問題として指摘されました。
会社は労働基準監督署から是正勧告を受けました。



是正勧告とは、労働基準監督署が法律違反を認めた場合に、一定期間内に違反状態を是正するよう事業者に求める行政指導です。是正しない場合は、書類送検などの厳しい措置が取られることもあります。
調査で分かった改善すべきポイント
労働基準監督署の調査を通じて、私は職場の安全について多くのことを学びました。
発見①:フォークリフト運転には資格が必要
- 最大荷重1トン以上のフォークリフトは技能講習修了が必須
- 最大荷重1トン未満でも特別教育の受講が必要
- 無資格運転は労働安全衛生法違反で罰則あり


フォークリフトの運転には、法律で定められた資格が必要です。
会社は資格を持っている人だけがフォークリフトを運転できるように、鍵の管理を徹底することになりました。
資格を持っていない人が運転することを防ぐ仕組みが作られたのです。



鍵の管理を徹底することは、無資格運転を防ぐ効果的な方法です。資格証の確認と合わせて鍵を渡す運用にすることで、物理的に無資格者の運転を防止できます。
発見②:接触防止と合図の重要性
- フォークリフト運転時には必ず誘導者を配置
- 合図は笛を鳴らす方法に変更し、技能実習生にも分かりやすく
- 朝礼で安全ルールを周知徹底
- 作業者とフォークリフトの通路を明確に区分
フォークリフトが作業をするときは、労働者との接触を防ぐための措置を講じることが法律で義務付けられています。
私の事故後、会社ではフォークリフトの運転時に必ず誘導者を配置するようになりました。
また、合図の方法も笛を鳴らす方式に変更されました。
日本語がまだ十分でない技能実習生にも分かりやすい方法になったのです。



外国人労働者がいる職場では、言葉に頼らない安全対策が重要です。笛や回転灯などの視覚・聴覚に訴える方法は、言語の壁を超えて危険を伝えることができます。
技能実習生が職場で身を守るための行動計画
私の経験から、同じような事故に遭わないために、技能実習生の皆さんに伝えたいことがあります。
職場の危険箇所を確認する
まず、自分が働いている職場のどこに危険があるかを確認しましょう。
フォークリフトや機械が動く場所、荷物が積まれている場所などは特に注意が必要です。
分からないことがあれば、先輩や上司に質問してください。
安全合図の方法を理解する
職場で使われている安全合図の意味を理解しておきましょう。
笛の音、手の動き、ライトの色など、それぞれの合図が何を意味するのかを確認します。
分からない場合は、絵や図で説明してもらうようお願いすることも大切です。
危険を感じたら相談する
職場で危険を感じたら、すぐに上司や監理団体に相談しましょう。
「危ない」と思うことを我慢する必要はありません。
会社が対応してくれない場合は、外国人技能実習機構や労働基準監督署に相談することもできます。
安全教育の内容を理解する
会社で行われる安全教育に参加したときは、内容を理解できるまで質問しましょう。
日本語が難しい場合は、母国語の資料を用意してもらうようお願いすることもできます。
理解できないまま作業を始めることが、事故につながります。
労災保険の仕組みを知る
仕事中にケガをしたら、労災保険で治療費や休業補償を受けることができます。
技能実習生も日本人と同じように労災保険の対象です。
事故が起きたときに慌てないよう、事前に仕組みを知っておきましょう。
相談窓口の連絡先を控えておく
困ったときに相談できる場所の連絡先を、事前に控えておきましょう。
外国人技能実習機構の母国語相談ダイヤルや、労働条件相談ほっとラインなどがあります。
携帯電話に登録しておくと、いざというときに役立ちます。
一人で悩まずに、専門家に相談することが大切です。



職場の安全は、会社だけでなく働く人自身も意識することが大切です。危険を感じたら声を上げること、分からないことは質問することが、事故を防ぐ第一歩です。
まとめ:同じ悩みを持つ外国人労働者に伝えたいこと
私の事故は、本当に怖い経験でした。
でも、この事故をきっかけに職場の安全対策が改善されました。
- フォークリフトの運転には法定の資格が必要で、無資格運転は違法
- 事業者はフォークリフトと労働者の接触防止措置を講じる義務がある
- 外国人労働者にも分かりやすい合図の方法を採用することが重要
- 危険を感じたら我慢せず、相談窓口に連絡することが大切


私はケガが治ったら、また同じ職場で働くつもりです。
安全な職場で働くことは、すべての労働者の権利です。
同じような危険を感じている技能実習生の皆さん、一人で我慢しないでください。
声を上げることで、職場は変わります。
私の経験が、誰かの役に立てば嬉しいです。








