
時給450円で月80時間残業!未払い賃金はなんと780万円!
私は縫製業の工場で働いている技能実習生です。
日本に来て3年目、毎日ミシンを使って洋服を縫う仕事をしています。
ある日、自分の給料明細をよく見てみると、時間外労働の割増賃金が時給450円で計算されていることに気づきました。
日本の最低賃金はもっと高いはずなのに、おかしいと思いました。
さらに、給料の一部が「帰国時に支払う」という理由で支払われていませんでした。
仲間たちと話し合い、勇気を出して労働基準監督署に申告することにしました。

| 出身国 | 中国 |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 工業製品製造業(技能実習) |
| 就職ルート | 母国からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 言語・文化の違いによるトラブル |
| 参照元 | 厚生労働省 – 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(平成31年・令和元年) |
まつむら割増賃金が法定の割増率を下回っている場合や、賃金の一部を「帰国時に支払う」として支払わない行為は、労働基準法および最低賃金法に違反します。技能実習生であっても、日本人労働者と同等の労働法の保護を受ける権利があります。
給料の異常に気づいた経緯
月80時間を超える残業と低すぎる割増賃金
私たちの工場は、納期が近づくと毎日遅くまで残業がありました。
忙しい月は、月に80時間以上も残業することがありました。
しかし、残業代は時給450円から600円という驚くほど低い金額でした。
日本の最低賃金を調べてみると、私たちの地域では時給900円以上のはずでした。
さらに、深夜に働いた時間や休日に働いた時間については、割増賃金が全く支払われていませんでした。
これはおかしいと思い、同じ工場で働く仲間に聞いてみると、皆同じ状況でした。



労働基準法では、時間外労働に対しては25%以上、深夜労働(午後10時から午前5時)に対しては25%以上、休日労働に対しては35%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。これらを下回る支払いは違法です。
「帰国時に支払う」という不当な条件
もう一つおかしいことがありました。
毎月の給料の一部が支払われず、「帰国時にまとめて支払う」と会社から言われていたのです。
最初は「そういうものなのかな」と思っていました。
しかし、その結果、毎月実際に支払われる賃金が最低賃金を下回る状況になっていました。
私たちは生活費が足りなくなり、とても困っていました。
「帰国時に払う」と言われても、本当に払ってもらえるか分かりませんでした。



賃金は毎月1回以上、一定の期日に全額を支払わなければならないと労働基準法で定められています。「帰国時に支払う」という条件は、賃金の全額払いの原則に違反するものです。
労働基準監督署への申告と調査結果
私たちは思い切って、労働基準監督署に申告することを決めました。
申告をするときはとても緊張しましたが、監督署の職員は丁寧に話を聞いてくれました。
調査の結果、私たち8名の技能実習生全員について、賃金の不払いが認められました。
会社は労働時間を自己申告制で把握していましたが、実際の残業時間と申告された時間に大きな差がありました。
- 時間外労働の割増賃金が時給450~600円と、法定の割増率を大幅に下回っていた
- 深夜労働および休日労働に対する割増賃金が全く支払われていなかった
- 定期賃金の一部を「帰国時に支払う」として支払わず、最低賃金を下回っていた
- 労働基準法第37条違反(割増賃金の支払)および最低賃金法第4条違反



労働基準監督署は、法律違反が認められた場合、是正勧告を行います。会社は勧告に従って違反状態を改善し、不払いとなっている賃金を支払う義務があります。
是正勧告後に支払われた未払い賃金
労働基準監督署の是正勧告を受けて、会社は私たちへの対応を変えました。
過去2年分の未払い賃金が支払われた
支払われた未払い賃金の内訳
- 時間外労働の割増賃金
- 過去2年分の不足額を再計算して支払い
- 深夜労働・休日労働の割増賃金
- これまで未払いだった分を全額支払い
- 定期賃金の不足額
- 「帰国時に支払う」とされていた分を即時支払い
会社は是正勧告に従い、私たち8名の技能実習生に対して未払いとなっていた賃金を支払いました。
その総額は約780万円にもなりました。
私一人あたりでも約100万円近くの未払い賃金が返ってきました。
これまで我慢して働いていた分が、ようやく正当な形で支払われたのです。



賃金請求権の時効は3年間(2020年4月以降の賃金について)ですが、今回のケースでは過去2年分が支払われました。未払い賃金がある場合は、できるだけ早く申告することが重要です。
賃金トラブルを避けるために知っておくべきこと
今回の経験から、私は多くのことを学びました。
自分の労働時間を正確に記録する
毎日、何時から何時まで働いたかを自分でメモしておきましょう。
スマートフォンのアプリやノートに記録しておくと、後で証拠になります。
給料明細を必ず確認して保管する
毎月の給料明細は必ず受け取り、内容を確認してください。
基本給、残業代、深夜手当、休日手当などが正しく計算されているか確認しましょう。
最低賃金と割増賃金の計算方法を理解する
おかしいと思ったら仲間や監理団体に相談する
賃金に疑問を感じたら、まず同じ職場の仲間に聞いてみましょう。
監理団体にも相談することができます。
一人で悩まないことが大切です。
証拠を集めて労働基準監督署に申告する
労働時間の記録、給料明細、雇用契約書などの証拠を集めましょう。
労働基準監督署への申告は無料で、匿名でも可能です。
専門家の助けを借りる
問題が複雑な場合は、(法テラス)や外国人労働者支援団体に相談しましょう。
弁護士に相談することで、より確実に権利を守ることができます。
言葉の心配がある場合は、通訳サービスを利用できることもあります。



賃金の問題は、証拠があるかどうかが重要です。日頃から労働時間や給料明細を記録・保管しておくことで、問題が起きたときに自分を守ることができます。
まとめ:声を上げる勇気が状況を変える
私たちは長い間、おかしいと思いながらも我慢して働いていました。
しかし、勇気を出して声を上げたことで、780万円もの未払い賃金を取り戻すことができました。
- 時間外労働の割増賃金は最低でも25%以上が法律で定められている
- 賃金の一部を「帰国時に支払う」という行為は違法である
- 労働基準監督署への申告は無料で、技能実習生でも利用できる
- 過去2年分の未払い賃金を請求できる可能性がある


私はこれからも、自分の権利を守るために労働時間と給料をしっかり確認していきます。
技能実習生であっても、日本人と同じ労働法の保護を受ける権利があります。
同じように賃金の問題で悩んでいる人がいれば、諦めないでほしいと思います。
労働基準監督署や法テラスなど、相談できる場所はたくさんあります。
一人で抱え込まず、仲間と一緒に声を上げてください。








