
退職時の有給休暇と賃金支払いトラブル
私は飲食店でホールスタッフとして働いていた外国人労働者です。
在留資格の期限が近づき、母国に帰国することを決めました。
退職にあたり、残っている有給休暇を使いたいこと、そして帰国前に給料を早く受け取りたいことを会社に伝えました。
しかし、会社は「規定通りに対応する」と繰り返すだけで、具体的な回答をもらえませんでした。
退職日も帰国日も迫っており、このままでは帰国の準備もできず困っていました。
そこで、労働センターに相談することにしたのです。

| 国 | ベトナム |
|---|---|
| 日本語能力 | N3程度 |
| 職種 | 外食業(特定技能1号) |
| 就職ルート | 技能実習生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 言語・文化の違いによるトラブル |
| 参照元 | 令和6年東京都の労働相談の状況 – 外国人労働相談 |
まつむら退職時の有給休暇取得と賃金の早期支払いは、労働者の正当な権利です。会社が曖昧な対応をする場合は、労働センターや(法テラス)などの第三者機関に相談することで、適切な解決が図れます。帰国を控えた外国人労働者には、特に迅速な対応が必要です。
退職を決めてから会社との話し合いが始まるまでの経緯
在留期限を迎えて帰国を決意
私は特定技能1号の在留資格で日本の飲食店で働いていました。
仕事は大変でしたが、お客様から感謝されることも多く、やりがいを感じていました。
しかし、在留期限が近づいてきたこと、そして家族の事情もあり、母国に帰ることを決めました。
退職の1か月前に店長に退職の意思を伝えました。
店長は残念そうでしたが、「分かりました。最後までしっかり働いてください」と言ってくれました。
その時、私には10日分の有給休暇が残っていました。
また、帰国の準備にはお金がかかるため、最後の給料を通常の給料日より早く受け取りたいと思っていました。



退職の意思表示は、法律上は2週間前までに行えば有効ですが、就業規則で1か月前と定められている場合は、それに従うのが望ましいです。円満退職のためにも、早めの申し出が重要です。
会社との交渉で明確な回答が得られない日々
退職日の2週間前、私は店長に改めて相談しました。
「残っている有給休暇を使わせてください。そして、帰国の準備があるので、最後の給料を早めに受け取れませんか」
店長は「会社に確認します」と言いましたが、数日経っても返事がありませんでした。
何度も確認すると、「規定通りに対応します」とだけ言われました。
しかし、「規定通り」がどういう意味なのか、有給休暇は取得できるのか、給料はいつ受け取れるのか、具体的なことは何も教えてもらえませんでした。
退職日まであと1週間となり、私は焦りを感じ始めました。
帰国の航空券も予約しなければならず、そのためにはお金が必要でした。
友人に相談したところ、「労働センターに相談してみたら」とアドバイスをもらい、相談に行くことにしました。



会社が具体的な回答を避ける場合、労働者側の不安が増大します。特に帰国を控えた外国人労働者にとって、時間的余裕がないため、早期の第三者介入が効果的です。
労働センターに相談して分かった私の権利
労働センターの相談員は、私の状況を丁寧に聞いてくれました。
そして、「あなたには有給休暇を取得する権利があります。また、会社と交渉して給料の早期支払いを求めることもできます」と教えてくれました。
相談員は会社に連絡を取り、事情を確認してくれることになりました。
会社側の事情と誤解が明らかに
- 有給休暇の取得は当然認めるつもりだった
- 有給休暇の買い取りを求められていると誤解していた
- 給料は規定の支払日に支払うのが原則だが、相談者の事情も考慮したい


労働センターが会社に連絡したところ、会社側にも事情があることが分かりました。
会社は、私が有給休暇を「買い取ってほしい」と要求していると誤解していたのです。
つまり、有給休暇を使わずに、その分のお金を現金でもらいたいと言っていると思い込んでいました。
しかし、私が求めていたのは有給休暇の取得と、退職時の賃金の早期支払いでした。
この誤解が明らかになったことで、話し合いがスムーズに進むようになりました。



言語や文化の違いから、労使間でコミュニケーションの齟齬が生じることは珍しくありません。第三者が介入することで、双方の真意が明確になり、解決への道筋が見えてきます。
有給休暇と賃金支払いに関する労働者の権利
退職時の有給休暇の取り扱い
- 労働者の権利
- 残っている有給休暇を取得する権利がある
- 会社は原則として有給休暇の取得を拒否できない
- 会社側の対応
- 業務に支障がある場合は時期変更権を行使できる
- ただし退職時は時期変更権は行使できない
労働センターの相談員は、退職時の有給休暇と賃金支払いについて詳しく説明してくれました。
有給休暇は労働者の権利であり、退職前であっても取得できます。
会社は「業務に支障がある」という理由で有給休暇の時期を変更する権利(時期変更権)を持っていますが、退職時は時期を変更することができないため、労働者の希望通りに取得できるのです。
また、賃金の支払い時期については、通常は就業規則で定められた支給日に支払われます。
しかし、帰国を控えている外国人労働者の事情を考慮して、会社と交渉することは可能です。



労働基準法では、賃金は毎月1回以上、一定期日に支払わなければならないと定められています。ただし、労使の合意があれば、支払い時期を前倒しすることは法律上問題ありません。
労働センターの調整で問題が解決するまで
労働センターの相談員が間に入ってくれたことで、会社との話し合いが前進しました。
相談員は、私と会社の双方の立場を理解し、公平な立場で調整してくれました。
まず、有給休暇の買い取りではなく、有給休暇の取得を希望していることを会社に明確に伝えてくれました。
会社側も、この点が明確になったことで、すぐに有給休暇の取得を認めてくれました。
次に、賃金の早期支払いについても交渉してくれました。
会社は当初、「規定の支払日に支払う」という立場でしたが、私が帰国を控えていること、航空券の購入などの準備が必要であることを理解してくれました。
最終的に、有給休暇取得分を含めた退職日までの賃金を、最終出勤日にまとめて支払うことで合意しました。
この解決策により、私は安心して帰国の準備を進めることができました。



労働センターなどの第三者機関が介入することで、労使双方の誤解が解消され、円満な解決に至るケースは多くあります。一人で悩まず、早めに相談することが重要です。
同じ悩みを持つ外国人労働者が取るべき6つのステップ
私の経験から、同じような問題を抱えている方に向けて、具体的な行動ステップをまとめました。
自分の有給休暇の残日数を確認する
まず、給与明細や勤怠記録を確認して、自分に残っている有給休暇の日数を把握しましょう。
分からない場合は、会社の人事担当者に確認してください。
有給休暇は入社後6か月経過し、全労働日の8割以上出勤していれば、10日間付与されます。
その後、勤続年数に応じて付与日数が増えていきます。
退職の意思を書面で会社に伝える
口頭だけでなく、退職届を書面で提出することをおすすめします。
退職日、退職理由を明記し、控えを残しておきましょう。
就業規則で退職の申し出期限が定められている場合は、それに従って早めに提出してください。
有給休暇の取得希望を明確に伝える
「有給休暇を取得したい」という意思を、具体的な日付とともに会社に伝えます。
「買い取ってほしい」という誤解を避けるため、「〇月〇日から〇日間、有給休暇を取得します」と明確に伝えましょう。
できれば書面やメールで記録に残すことが重要です。
賃金の早期支払いについて会社と交渉する
帰国を控えている事情を説明し、賃金の早期支払いを依頼します。
「航空券の購入が必要」「帰国準備にお金がかかる」など、具体的な理由を伝えると、会社も理解しやすくなります。
法律上の義務ではありませんが、労使の合意があれば前倒しは可能です。
会社が応じない場合は労働センターに相談する
会社が明確な回答をしない、または拒否する場合は、労働センターや(法テラス)に相談しましょう。
第三者が介入することで、話し合いがスムーズに進むことが多いです。
相談は無料で、外国語対応している機関もあります。
合意内容を書面で確認する
会社との合意が成立したら、必ず書面で確認しましょう。
有給休暇の取得日、賃金の支払日、支払金額などを記載した文書を作成し、双方で保管します。
口約束だけでは、後でトラブルになる可能性があります。
書面で残すことで、安心して帰国の準備を進められます。



退職時のトラブルを防ぐには、早めの準備と明確なコミュニケーションが重要です。言語に不安がある場合は、信頼できる友人や支援団体に同行してもらうことも検討してください。
まとめ:退職時の権利を守るために
私の経験を通じて、同じような悩みを抱えている外国人労働者の方に伝えたいことがあります。
- 退職時の有給休暇取得は労働者の正当な権利である
- 会社との誤解を避けるため、希望内容を明確に伝えることが重要
- 賃金の早期支払いは労使の合意で可能
- 困ったときは労働センターなどの第三者機関に相談する


一人で悩まず、早めに相談することが何より大切です。
私も最初は不安でしたが、労働センターの相談員の方が親身になって助けてくれました。
日本で働く外国人労働者にも、日本人と同じように労働者としての権利があります。
言葉の壁があっても、諦めずに自分の権利を守ってください。
そして、同じような問題で悩んでいる友人がいたら、ぜひ労働センターや支援団体に相談することを勧めてあげてください。








