
社会保険未加入が発覚した外国語講師
私はアラブ諸国出身で、外国語講師として日本の会社で正社員として働いていました。
入社して6か月が経った頃、会社から「指導方針が合わない」という理由で突然解雇を告げられました。
離職後に気づいたのですが、毎月給与から社会保険料と雇用保険料が控除されていたのに、実際には加入手続きがされていなかったのです。
さらに、自宅待機期間中の賃金の一部も未払いになっていました。

| 出身国 | – |
|---|---|
| 日本語能力 | N2程度 |
| 職種 | 宿泊業(技術・人文知識・国際業務) |
| 就職ルート | 母国からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 生活支援・住環境の問題 |
| 参照元 | 令和3年東京都の労働相談の状況 – 外国人労働相談 |
まつむら正社員として雇用されている場合、会社には社会保険(健康保険・厚生年金)と雇用保険への加入手続きを行う義務があります。給与から保険料を控除していながら加入手続きをしていないことは、明らかな法令違反です。
入社から解雇までの経緯
外国語講師として入社
私は母国で英語とアラビア語の教育に携わっていました。
日本で外国語講師の仕事を見つけ、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で来日しました。
入社時には正社員として雇用契約を結び、給与明細には社会保険料と雇用保険料の控除額が記載されていました。
日本の社会保険制度についてはよく分かりませんでしたが、会社がきちんと手続きをしてくれているものと信じていました。



「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働く外国人も、日本人と同様に社会保険の適用を受けます。正社員として雇用された場合、入社日から社会保険に加入することになります。
突然の解雇通告
入社から6か月が経った頃、上司に呼ばれて解雇を告げられました。
理由は「指導方針が合わない」というものでした。
具体的にどこが問題なのか、どうすれば改善できるのか、詳しい説明はありませんでした。
解雇の前にはしばらく自宅待機を命じられていましたが、その期間の賃金についても明確な説明がありませんでした。
とにかく、退職の手続きを進めるしかないと思いました。



解雇には厳格な要件があり、「指導方針が合わない」というだけでは正当な解雇理由とはなりにくいです。また、自宅待機を命じた場合、会社には平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があります。
離職後に発覚した問題
退職後、失業手当を申請しようとハローワークに行ったところ、思わぬ事実が判明しました。
社会保険の加入手続きがされていなかった
- 給与から社会保険料を控除していたのに加入手続きがされていなかった
- 雇用保険の遡及手続きも行われていなかった
- 自宅待機期間中の賃金の一部が未払いになっていた
- このままでは失業手当が受けられない
ハローワークで確認したところ、雇用保険の加入記録が見つかりませんでした。
毎月給与から保険料が引かれていたのに、実際には加入していなかったのです。
また、年金事務所で確認したところ、社会保険(健康保険・厚生年金)についても同様の状況でした。
さらに、自宅待機期間中の賃金も一部未払いになっていることが分かりました。
これは大きな問題だと感じ、センターに相談することにしました。



給与から保険料を控除しながら加入手続きをしないことは、詐欺的な行為にもなりかねません。労働者は控除された保険料の返還を求めることができますし、会社には遡及して加入手続きを行う義務があります。
センターの介入で問題が解決
センターの担当者が会社に事情を聴いてくれました。
会社側の説明と対応
会社が行った対応
- 社会保険
- 遡及加入手続きは既に完了
- 雇用保険
- 至急遡及手続きを行う
- 未払い賃金
- 休業手当相当を支払う
会社の説明では、社会保険の手続きが遅れたのは「本人が必要な書類を提出しなかったため」とのことでした。
しかし、遅延はしたものの社会保険の遡及加入手続きはすでに終了しているとのことでした。
一方、雇用保険については遡及手続きが行われていないことが判明しました。
会社は至急遡及手続きを行うと約束し、さらに解雇日までの自宅待機期間中の賃金については休業手当相当を支払うとしました。
私はこれらの会社対応を全て了解し、問題は解決しました。



雇用保険は遡って加入手続きを行うことができます。遡及加入が完了すれば、失業手当の受給資格を得ることができます。手続きに時間がかかる場合がありますが、最終的には受給できるようになります。
国民健康保険料の二重払いという新たな問題
- 会社の社会保険加入手続きが遅れていた
- その間、国民健康保険に加入して保険料を支払っていた
- 会社が遡及加入したため、同じ期間の保険料を二重に払うことに


問題が解決したと思った後、私から再度センターに連絡がありました。
日本の社会保険制度をよく理解していなかったため、会社の社会保険に遡及加入した期間について、本来必要のない国民健康保険料を区役所に納めてしまっていたのです。
還付手続きをしようとしましたが、書類が全て日本語で書かれていて理解できませんでした。
センターの担当者が還付手続きのサポートを行ってくれて、最終的に二重に払った保険料の還付を受けることができました。



社会保険と国民健康保険は重複して加入することはできません。社会保険に遡及加入した場合、その期間に支払った国民健康保険料は還付されます。ただし、還付手続きは自分で行う必要があるため、申請を忘れないようにしましょう。
同じ問題を解決するための行動計画
私と同じような経験をしないために、また同じ問題に直面した場合の対処法をまとめました。
入社時に社会保険・雇用保険の加入を確認する
正社員として入社する場合、会社は社会保険と雇用保険への加入手続きを行う義務があります。
入社後すぐに健康保険証が届いているか、雇用保険被保険者証を受け取っているかを確認しましょう。
給与明細と実際の加入状況を照合する
給与明細から社会保険料や雇用保険料が控除されているのに、保険証が届かない場合は要注意です。
年金事務所やハローワークで実際の加入状況を確認することができます。
在職中でも確認は可能なので、不安な場合は早めに確認しましょう。
問題が見つかったら会社に確認と対応を求める
加入手続きがされていないことが判明したら、まず会社に確認しましょう。
単なる手続きの遅れなのか、意図的に加入していなかったのかによって対応が変わります。
いずれの場合も、会社には遡及して加入手続きを行う義務があります。
対応がない場合は相談窓口に相談する
会社が対応してくれない場合は、外国人向けの相談窓口や労働基準監督署に相談しましょう。
相談窓口が会社に働きかけることで、問題が解決する場合があります。
給与から保険料を控除しながら加入手続きをしないことは法令違反であり、会社には是正する義務があります。
遡及加入後は国保料の還付手続きを行う
社会保険に遡及加入した場合、その期間に支払った国民健康保険料は還付されます。
区役所や市役所の国民健康保険課で還付手続きを行いましょう。
書類が日本語で分からない場合は、相談窓口でサポートを受けることができます。
全ての手続きが完了したことを確認する
全ての問題が解決したと思っても、必ず確認作業を行いましょう。
雇用保険の加入記録、社会保険の資格取得・喪失の記録、国保料の還付状況など、一つひとつ確認することが大切です。
何か漏れがあった場合、後から問題になることがあります。
不明な点があれば、遠慮なく相談窓口に確認してください。



社会保険や雇用保険の手続きは複雑で、外国人にとっては理解しにくい面があります。入社時に会社に確認し、不明な点は早めに専門家に相談することをおすすめします。
まとめ:自分の権利を守るために確認を怠らない
私は会社を信頼して、社会保険の手続きがきちんと行われているものと思い込んでいました。
しかし、実際には手続きが遅れており、離職後に大きな問題となりました。
- 給与から保険料を控除しながら加入手続きをしないことは法令違反
- 雇用保険は遡及加入が可能で、完了すれば失業手当を受給できる
- 社会保険に遡及加入した場合は国保料の還付手続きを忘れずに
- 入社時から加入状況を確認することが問題の予防になる


今回の経験で学んだことは、会社任せにせず、自分でも確認することの大切さです。
日本の制度は複雑ですが、分からないことは相談窓口で聞くことができます。
同じような問題で困っている方は、一人で悩まずに専門家に相談してください。
私たち外国人労働者にも、日本の法律で守られる権利があります。
その権利を守るために、必要な知識を身につけ、適切な行動を取りましょう。








