
成果が出ないから給料を払わない?退職後の賃金トラブル
私は情報通信業でシステムエンジニアとして働いていた外国人です。
在留資格は「技術・人文知識・国際業務」で、プログラミングやシステム開発の仕事をしていました。
入社して3か月後、自己都合で退職しましたが、退職月の給料が振り込まれませんでした。
会社に確認すると「無断欠勤があり、仕事の成果も出ていなかったから支払えない」と言われました。
確かに勤務状況が良くなかった時期はありましたが、働いた分の給料がもらえないのは納得がいきません。
どうすればいいか分からず、相談窓口に助けを求めました。

| 国 | – |
|---|---|
| 日本語能力 | N2程度 |
| 職種 | 工業製品製造業(技術・人文知識・国際業務) |
| 就職ルート | 留学生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 就労態度に関するトラブル |
| 参照元 | 平成27年東京都の労働相談の状況 – 外国人労働相談 |
まつむら「仕事の成果が出なかったから給料を払わない」という会社の主張は、法的には認められません。労働基準法では、実際に働いた時間に対して賃金を支払う義務が会社にあります。成果や業績が悪くても、既に働いた分の賃金を支払わない理由にはなりません。
入社から退職、そして給料未払いに気づくまでの経緯
客先常駐で働くシステムエンジニアとして入社した
私は正社員として情報通信会社に入社しました。
仕事の形態は「客先常駐」というもので、自社ではなくクライアント企業のオフィスで働くスタイルです。
入社当初は新しい環境に慣れようと頑張っていました。
しかし、常駐先の求めるスキルレベルと私の技術力にギャップがあり、なかなか成果を出せませんでした。
常駐先から会社に対して「勤務状況が思わしくない」という報告があったようで、上司から何度か注意を受けました。
改善しようと努力しましたが、状況は好転せず、3か月で退職することを決めました。



客先常駐型の働き方では、常駐先企業と雇用主である自社との間で、労働者の評価にズレが生じることがあります。ただし、雇用契約を結んでいるのはあくまで自社であり、賃金の支払い義務は自社にあります。常駐先からの評価が低くても、それが直ちに賃金不払いの理由にはなりません。
退職後に給料が振り込まれていないことに気づいた
退職後、給料日に銀行口座を確認したところ、退職月の給料が振り込まれていませんでした。
すぐに会社に電話で確認しました。
すると会社からは、「無断欠勤があったこと」と「仕事の成果が出なかったこと」を理由に、給料は支払えないと言われました。
さらに「常駐先との業務契約に基づき、会社に外注費が入ってこなくなった」とも説明されました。
確かに、体調を崩して数日休んだことはありました。
しかし、それ以外の日は毎日出勤して働いていました。
働いた分の給料がもらえないのは、どう考えてもおかしいと思いました。



会社と常駐先企業との間の業務委託契約と、会社と労働者との間の雇用契約は全く別のものです。常駐先から会社への支払いがなくなったとしても、それは会社のビジネス上の問題であり、労働者への賃金支払いを拒否する理由にはなりません。
会社との話し合いが進まず困っていた状況
会社に何度か連絡を試みましたが、担当者となかなか話ができませんでした。
電話しても「折り返します」と言われたまま、返事がこないことが続きました。
会社からは「説明を求めたい」と言われていましたが、具体的に何を説明すればいいのか、どうすれば給料を払ってもらえるのか分かりませんでした。
外国人として日本で働いている私には、このような問題にどう対処すればいいのか知識がありませんでした。
友人に相談したところ、労働相談ができる窓口があると教えてもらい、相談に行くことにしました。



賃金の未払いは労働基準法違反の可能性が高い問題です。一人で会社と交渉するのが難しい場合は、労働相談窓口や労働基準監督署に相談することで、適切な対応方法を知ることができます。外国人向けの相談窓口もありますので、言葉の心配は不要です。
相談窓口で知った私の権利と法律の知識
相談窓口を訪れて、自分の状況を説明しました。
担当者から、私にとって重要な法律の知識を教えてもらいました。
発見①:成果が出なくても働いた分の給料は支払われるべき
- 労働基準法により、働いた時間に対する賃金支払いは会社の義務
- 成果や業績は賃金不払いの正当な理由にならない
- 会社の取引先からの入金有無は労働者への支払いと無関係


「仕事の成果が出なかった」という理由で、既に働いた分の賃金を支払わないことは法的に認められません。
日本の労働基準法では、労働者が実際に働いた時間に対して、会社は賃金を支払う義務があります。
成果報酬型の契約を結んでいる場合は別ですが、私は普通の正社員として雇用されていました。
つまり、出勤して働いた日数分の給料は、成果に関係なく支払われるべきなのです。



労働契約は「労務の提供」と「賃金の支払い」の交換関係です。労働者が出勤して業務に従事した時点で、賃金請求権が発生します。業績や成果が期待に満たなかったとしても、それは別途の問題(評価、指導、最悪の場合は解雇など)であり、既往の賃金を支払わない理由にはなりません。
発見②:第三者を交えた話し合いで解決できる
- 私の勤務状況について双方の認識を確認
- 無断欠勤とされた日の実態を明確化
- 会社が主張する「損害」の根拠を検証
- 賃金不払いが法的に認められないことを会社に説明
相談窓口の担当者が会社に連絡を取り、状況確認をしてくれました。
会社は、私が会社からの連絡に応じなかったことも問題視していました。
担当者は会社に対して、「会社が述べる理由では、既往の労働分の給料を支払わなくてよい理由とはならない」ことを明確に伝えてくれました。
その後、担当者立ち会いのもと、私と会社の三者で話し合いの場が設けられました。



労使間の問題は、第三者が介入することで解決に向かうことが多いです。労働相談窓口や労働基準監督署は、労働者と会社の間に入って話し合いを促進したり、法的な観点から助言を行ったりする役割を担っています。
私が今すぐ行動すべき6つのステップ
相談窓口の粘り強い調整の結果、会社は未払いとなっている賃金の支払いに応じました。
同じような状況に直面している方のために、取るべき行動をまとめました。
実際の勤務日数と労働時間を記録する
出勤した日、労働時間、休んだ日とその理由を時系列で整理します。
タイムカードのコピーや、常駐先への入退館記録などがあれば保管しておきましょう。
証拠書類を保管する
雇用契約書、給与明細(過去の分も含む)、就業規則などを集めて保管します。
会社とのメールや通話記録なども、賃金に関するやり取りの証拠になります。
会社に書面で賃金の支払いを請求する
電話だけでなく、内容証明郵便などで正式に未払い賃金の支払いを請求します。
請求する金額、計算根拠、支払期限を明記しましょう。
書面で請求することで、後から「請求を受けていない」と言われることを防げます。
労働相談窓口や労働基準監督署に相談する
一人での交渉が難しい場合は、労働相談窓口や労働基準監督署に相談しましょう。
賃金の未払いは労働基準法違反であり、労働基準監督署が会社に対して是正指導を行うことができます。
外国語で相談できる窓口もあります。
会社との話し合いの場を設ける
第三者の立ち会いのもとで、会社と直接話し合いの場を持つことが効果的です。
勤務状況や欠勤の理由など、お互いの認識を確認し合います。
解決しない場合は法的手段を検討する
話し合いでも解決しない場合は、労働審判や少額訴訟などの法的手段を検討します。
労働審判は通常の裁判より短期間で結論が出るため、利用しやすい制度です。
法テラスで弁護士費用の立替制度を利用できる場合もあります。
まとめと読者へのメッセージ
「成果が出なかったから給料を払わない」と言われたとき、自分が悪いのではないかと思ってしまうかもしれません。
私も最初はそう感じました。
- 成果が出なくても働いた分の賃金は支払われるべき
- 会社の取引先との契約は労働者への賃金支払いとは無関係
- 賃金未払いは労働基準法違反であり、会社に支払い義務がある
- 一人で解決が難しい場合は第三者機関に相談する


しかし、相談窓口で教えてもらった通り、働いた分の給料をもらうのは労働者の当然の権利です。
相談窓口の粘り強い調整のおかげで、私は未払いだった賃金を受け取ることができました。
もし同じような状況で悩んでいる方がいたら、諦めずに相談してください。
法律はあなたの味方です。
一人で抱え込まず、専門家の力を借りましょう。








