
自己都合退職にされた私の抗議!外国人労働者の権利
私はホテルで通訳の仕事をしていた外国人です。
在留資格は「技術・人文知識・国際業務」で、日本語も問題なく話せます。
ある日突然、上司に呼ばれて「会社の仕事が減ったので1か月後に辞めてください」と言われました。
その時に漢字だらけの書類に署名を求められ、よく分からないまま名前を書いてしまったのです。
後で分かったことですが、それは「辞職願」で、離職票には「自己都合退職」と記載されていました。
会社都合で辞めさせられたのに、自分から辞めたことにされてしまったのです。

| 出身国 | – |
|---|---|
| 日本語能力 | N2程度 |
| 職種 | 宿泊業(技術・人文知識・国際業務) |
| 就職ルート | 留学生からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル 言語・文化の違いによるトラブル |
| 参照元 | 法テラス – 「自分の都合で会社をやめたことにされました。」 |
まつむら内容を理解しないまま辞職願に署名してしまった場合でも、労働審判や裁判で無効を主張することができます。また、「自己都合退職」とされた離職票についても、ハローワークで異議を申し立てることが可能です。在留資格への影響も含めて、今できることを確認しましょう。
突然の解雇通告から署名を求められるまでの経緯
上司に呼ばれて告げられた突然の解雇
その日は普通に仕事をしていました。
昼休みが終わった頃、上司から「ちょっと話がある」と呼ばれて会議室に入りました。
「会社の業績が悪化して、人員削減をすることになった。1か月後に退職してもらいたい」と言われたのです。
突然のことで頭が真っ白になりました。
私は通訳として真面目に働いてきたつもりでしたし、お客様からも評価してもらっていました。
なぜ私なのか、他にも辞めさせられる人がいるのか聞きましたが、「会社の判断だ」とだけ言われました。



会社が経営上の理由で従業員を解雇する「整理解雇」には、厳格な要件があります。人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続きの妥当性の4つの要素が求められ、これらが満たされていない場合、解雇は無効となる可能性があります。
内容が分からないまま署名してしまった書類
解雇を告げられた直後、上司は一枚の書類を取り出しました。
「これに名前を書いてください。必要な手続きです」と言われました。
書類は全て漢字で書かれていて、正直なところ内容がよく理解できませんでした。
最初は「内容が分からないので、家に持ち帰って確認したい」と言いました。
しかし上司は「今日中に必要な書類だ。早く書いてくれ」と強い口調で迫ってきました。
その場の雰囲気に押され、結局署名してしまいました。
後日、同じ職場の友人に相談したところ、「それは辞職願だよ」と教えられました。
辞職願とは、自分から「仕事を辞めたい」と会社に伝えるための書類です。
私は会社都合で辞めさせられたのに、自分から辞めることになってしまったのです。



書類の内容を理解しないまま署名した場合、その意思表示は無効と主張できる可能性があります。特に、会社が書類の内容を十分に説明せず、外国人労働者が理解できない状態で署名を強要した場合は、錯誤による意思表示の無効を主張する強い根拠となります。
離職票を見て気づいた「自己都合退職」の記載
退職の日が近づいてきた頃、会社から離職票を受け取りました。
離職票とは、失業手当を受け取るために必要な書類です。
その離職票を見たとき、退職理由の欄に「自己都合退職」と書かれていることに気づきました。
これはおかしいと思いました。
私は自分から辞めたいと言ったわけではなく、会社から辞めてくれと言われたのです。
友人に聞くと、「会社都合退職」と「自己都合退職」では、失業手当を受け取れる条件や時期が大きく違うということでした。
また、私以外に会社を辞めさせられた人はいませんでした。
これは本当に「会社の業績悪化による人員削減」だったのでしょうか。



「会社都合退職」と「自己都合退職」では、失業手当の受給条件が大きく異なります。会社都合の場合は雇用保険加入期間6か月以上で待期期間後すぐに受給できますが、自己都合の場合は12か月以上の加入期間が必要で、さらに待期期間終了後2か月経過しないと受給できません。
法テラスで調べて分かった私の権利
このままでは納得できないと思い、友人と一緒に法テラスで相談しました。
そこで、私にも使える権利があることを知りました。
辞職願の署名を無効にできる可能性がある
- 書類が漢字だけで書かれており、内容を理解できなかった
- 会社は辞職願であることを明確に説明しなかった
- 署名を強く求められ、断りにくい状況だった
- 本当は仕事を辞めたくなかった


労働審判や裁判を通じて、辞職願への署名を無効にできる可能性があります。
労働審判とは、労働者と会社の間の問題を早く解決するための制度です。
地方裁判所で行われ、通常の裁判よりも早くて簡単で、普通は3回以内に終わります。
私の場合、書類の内容が理解できず、会社も辞職願であることを説明しなかったため、意思表示の錯誤により無効であると主張できます。
つまり、私は内容を理解した上で辞職願に署名したのではないということです。



労働審判は、1人の労働審判官(裁判官)と2人の労働審判員(労働問題の専門家)が対応します。まず調停(話し合い)を試み、それで解決しない場合は審判(裁判官の決定)が出されます。審判に不服がある場合は、通知から2週間以内に異議を申し立てることで、通常の裁判に移行できます。
離職票の「自己都合退職」を変更できる
会社都合退職と自己都合退職の違い
- 会社都合退職の場合
- 次の仕事が見つからない場合、「特定活動」(6か月)の在留資格に変更可能
- 就職活動のための滞在期間を確保できる
- 自己都合退職の場合
- 在留期限または退職から3か月後のどちらか早い日まで
- それまでに新しい仕事を見つけるか帰国する必要がある
離職票の退職理由について、ハローワークで異議を申し立てることができます。
失業手当の手続きをする際に、「自己都合ではなく会社都合で辞めさせられた」ことを説明してください。
その際、解雇を告げられた日時や状況、辞職願に署名した経緯などを詳しく伝えます。
それでも「自己都合」と判断された場合は、労働局に「審査請求」を提出できます。
ただし、審査請求には2か月以上かかる場合が多く、その間に失業手当の給付が始まってしまう可能性があります。



ハローワークでの異議申し立てには、解雇通告を受けた状況を示す証拠(メールや録音、証言など)があると有利です。また、会社が辞職願の内容を説明しなかったこと、署名を強要されたことなども重要な証拠となります。専門家に相談しながら証拠を整理することをおすすめします。
在留資格への影響と取るべき対応
私の在留資格は「技術・人文知識・国際業務」です。
会社を辞めた後、在留資格はどうなるのでしょうか。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている人は、転職が可能です。
別のホテルの通訳や、語学教室の先生など、同じような仕事に就く場合は在留資格を変更する必要はありません。
ただし、働く会社が変わったことを14日以内に入国管理局に届け出る必要があります。
もし会社都合退職が認められれば、次の仕事が見つからない場合でも、就職活動のための「特定活動」(6か月)の在留資格に変更できます。
一方、自己都合退職の場合は在留期限または退職から3か月後のどちらか早い日までしか日本にいることができません。
ただし、自己都合退職が間違いだと認められた場合は、6か月間の「特定活動」の在留資格を取得できる可能性があります。



会社を辞めた後の在留資格の取り扱いは複雑なため、労働問題と在留資格の両方について専門家に相談することをおすすめします。
私が今すぐ行動すべき6つのステップ
調べた結果、私が今すべきことが明確になりました。
解雇通告から辞職願署名までの経緯を記録する
まず最初に、解雇を告げられた日時、場所、誰から言われたか、どのような言葉で言われたかを詳細に記録します。
辞職願に署名した状況(誰がいたか、どのように求められたか、断った時の会社の対応など)も具体的に書き出します。
この記録は労働審判や裁判で重要な証拠となります。
記憶が鮮明なうちに、できるだけ詳しく記録しておきましょう。
証拠書類を保管する
辞職願のコピー、離職票、会社からのメール、給与明細など、関連する書類はすべて保管しておきます。
もし当日の会話を録音していれば、それも重要な証拠になります。
また、同じ職場の同僚で、当時の状況を知っている人がいれば、証言をお願いできるか確認しておくとよいでしょう。
労働問題に詳しい弁護士に相談する
ハローワークで失業手当の手続きと異議申し立て
次の就職先を探す
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働ける仕事を探します。
ホテルの通訳や、語学教室の講師、翻訳の仕事などが該当します。
新しい会社が決まったら、14日以内に入国管理局に「所属機関等に関する届出」を提出する必要があります。
これを忘れると在留資格の取消事由になる可能性があるので注意してください。
必要に応じて「特定活動」への変更を申請する
もし会社都合退職が認められて、すぐに次の仕事が見つからない場合は、就職活動のための「特定活動」(6か月)への在留資格変更を申請できます。
この申請には、ハローワークへの求職登録証明書や、会社都合退職を証明する書類などが必要になります。
在留資格の変更申請は複雑なため、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。



労働審判と失業手当の手続き、そして在留資格の問題を同時に進めるのは大変です。専門家のサポートを受けながら、優先順位をつけて一つずつ確実に進めていくことが重要です。
まとめ:同じ悩みを持つ外国人労働者に伝えたいこと
私と同じように、会社から不当な扱いを受けている外国人労働者の方がいるかもしれません。
一人で抱え込まないでください。
- 内容を理解しないまま辞職願に署名しても、労働審判で無効を主張できる
- 離職票の「自己都合退職」は、ハローワークで異議申し立てができる
- 会社都合退職なら、失業手当の受給条件が有利になる
- 在留資格への影響は退職理由によって大きく変わるため専門家への相談が重要


私はこれから、法テラスや専門家の力を借りて、自分の権利を守るために行動します。
内容が分からない書類には絶対に署名しないこと、これが一番大切な教訓です。
もし署名してしまっても、諦めずに専門家に相談してください。
私たち外国人労働者にも、日本で働く権利と守られる権利があります。
言葉の壁があっても、一人で悩まずに助けを求めることが大切です。










