
高賃金を理由とした減額と退職勧奨
私は外資系メーカーでマネージャーとして働いていた外国人です。
正社員として採用され、3か月の試用期間を経て本採用になりました。
試用期間中の評価は「A」で、自分では順調だと思っていました。
しかし試用期間が終わった直後、「給与が高すぎるので30%減給するか、退職するか選んでほしい」と言われました。
評価は良かったはずなのに、なぜこのような話になるのか理解できませんでした。
生活のこともあり、どうすればいいのか分からなくなりました。

| 国 | – |
|---|---|
| 日本語能力 | N2程度 |
| 職種 | 工業製品製造業(技術・人文知識・国際業務) |
| 就職ルート | 母国からの就職 |
| トラブル種別 | 労働条件に関するトラブル |
| 参照元 | 平成26年東京都の労働相談の状況 – 外国人労働相談 |
まつむら試用期間中の評価が良好であったにもかかわらず、給与が高いという理由だけで一方的に減給や退職を求めることは、労働契約法に違反する可能性があります。退職勧奨に応じる義務はありませんし、応じる場合でも条件交渉ができます。冷静に対応しましょう。
退職勧奨を受けるまでの経緯
順調だった試用期間と突然の呼び出し
私は母国で培った技術を活かして、日本の外資系メーカーに転職しました。
マネージャーとして採用され、チームを率いる立場でした。
試用期間の3か月間は、与えられた仕事を一生懸命こなしました。
評価は「A」で、5段階中3番目という説明を受けました。
特に問題はなく、このまま働き続けられると思っていました。
しかし試用期間が終わった直後、人事部から呼び出しを受けました。
「あなたの給与は会社の基準より高すぎる」と言われたのです。



採用時に合意した給与を、会社が一方的に下げることは原則としてできません。これを「不利益変更」と言い、労働契約法第8条で規制されています。労働者の同意なく労働条件を変更することは認められていません。
提示された2つの選択肢
人事部からは、2つの選択肢を示されました。
1つ目は、30%の減給を受け入れて、マネージャーからオペレーターに配置転換するというものでした。
2つ目は、数か月分の賃金補償をして退職するというものでした。
どちらも受け入れがたい内容でした。
なぜ評価が良かったのに、このような話になるのか理解できませんでした。
「受け入れなければ解雇する」という言葉も聞こえてきて、とても不安になりました。
私には家族もいて、生活がかかっています。
どうすればいいのか分からなくなり、相談窓口を探すことにしました。



退職勧奨を受けた場合、すぐに応じる必要はありません。また、「解雇する」という脅しがあっても、日本では正当な理由なく解雇することは非常に難しく、「解雇権濫用の法理」によって無効となる場合があります。
続けるか辞めるか、揺れる気持ち
正直なところ、会社の対応にはがっかりしました。
モチベーションが大きく下がり、このまま働き続けることに疑問を感じるようになりました。
しかし、すぐに次の仕事が見つかる保証もありません。
在留資格のことも考えなければなりませんでした。
もし退職を選ぶなら、できるだけ良い条件で退職したいと思いました。
会社が提示した「数か月分」という賃金補償が適正なのかも分かりませんでした。



退職条件は交渉可能です。会社の最初の提案をそのまま受け入れる必要はありません。専門家の助言を得ながら、自分にとって納得できる条件を引き出すことが大切です。
相談して分かった私の権利
外国人労働者向けの相談センターで、私の状況を詳しく説明しました。
担当者は私の話を聞いた上で、法的な観点から助言をしてくれました。
発見①:一方的な解雇は難しい
- 客観的に合理的な理由があること
- 社会通念上相当と認められること
- 解雇回避の努力をしたこと


日本では、会社が労働者を解雇するのは非常にハードルが高いです。
特に「給料が高いから」という理由だけで解雇することは、通常認められません。
私の場合、試用期間の評価は良好だったため、解雇の正当な理由がありません。



会社が「解雇する」と脅しても、裁判で争えば会社側が敗訴する可能性が高いケースです。このような場合、会社は解雇ではなく「退職勧奨」という形で自主退職を促そうとします。
- 職場での居心地が悪くなる可能性がある
- 追加の退職勧奨を受ける可能性がある
- 配置転換を提案される可能性がある
- ただし、違法な嫌がらせは法的に争える
退職勧奨を断っても、それだけで不利益を受けることは法的に問題があります。
ただし、現実的には職場環境が悪化する可能性も考慮する必要がありました。



退職勧奨を受けた際は、感情的にならず冷静に対応することが大切です。すぐに返事をせず、「検討する時間をください」と伝えて、専門家に相談しましょう。
発見②:退職条件は交渉できる
交渉できる退職条件
- 金銭補償の金額
- 会社の最初の提案より増額できる場合が多い
- 退職日の設定
- 次の仕事を探す時間を確保できる
- 退職理由の記載
- 会社都合とすることで失業手当に有利
相談センターの担当者は、会社との交渉を手伝ってくれることになりました。
会社に対して解雇の法理を説明し、より良い条件での合意退職を提案しました。
担当者は「会社も裁判リスクを避けたいはずなので、交渉の余地がある」と言いました。
- 合意内容は必ず書面で残す
- 署名前に内容をよく確認する
- 不明な点は専門家に確認する
- 一度合意すると撤回が難しい



合意退職の場合、退職理由を「会社都合」とすることで、失業手当の受給条件が有利になります。この点も交渉のポイントとなります。
私が取るべき6つのステップ
担当者と相談し、具体的な行動計画を立てました。
会社から提示された条件を書面で確認する
口頭で言われた内容を、書面で出してもらうよう依頼します。
「検討するために詳細を確認したい」と伝えれば、会社も応じやすいです。
雇用契約書と評価資料を保管する
入社時の雇用契約書、給与条件の書類、試用期間の評価資料などを保管します。
これらは交渉や万が一の裁判で重要な証拠となります。
相談センターを通じて会社と交渉する
相談センターの担当者に、会社との交渉を依頼します。
専門家が間に入ることで、法的な観点から適切な主張ができます。
会社に対して解雇の法理を説明してもらい、より良い条件を引き出します。
金銭補償の月数と退職日を調整する
会社の最初の提案より良い条件を目指して交渉します。
金銭補償の上積みや、次の仕事を探す時間を確保できる退職日の設定を求めます。
退職理由を「会社都合」とすることも確認します。
合意内容を書面で確認して署名する
交渉がまとまったら、合意内容を書面で確認します。
署名前に専門家にチェックしてもらうことが大切です。
次の就職活動と在留資格の対応を進める
退職後すぐに次の仕事が見つからない場合は、在留資格の対応が必要です。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている場合、同じ分野での転職活動ができます。
会社都合退職の場合は、「特定活動」への在留資格変更も検討できます。
入国管理局への届出も忘れずに行いましょう。



今回のケースでは、相談センターの交渉により、当初の提案より上積みされた金銭補償で合意に達しました。専門家の助けを借りることで、より良い条件を引き出すことができます。
まとめ:同じ状況にいる外国人労働者へ
私と同じように、突然の退職勧奨を受けて困っている方がいるかもしれません。
焦らず、冷静に対応してください。
- 退職勧奨を受けてもすぐに応じる必要はない
- 日本では正当な理由のない解雇は認められにくい
- 退職条件は交渉で改善できる可能性がある
- 専門家に相談して有利な条件を引き出そう


私は最終的に、当初の提案より上積みされた金銭補償を受けて退職することになりました。
会社の最初の提案をそのまま受け入れていたら、この結果は得られませんでした。
専門家に相談して本当に良かったです。
外国人だから仕方ないと諦めないでください。
私たちにも交渉する権利があります。








